汾酒(読み)フェンチュー(その他表記)(中国)

デジタル大辞泉 「汾酒」の意味・読み・例文・類語

フェンチュー【汾酒】

《〈中国語〉》中国山西省汾陽県産の焼酎しょうちゅう。主原料コーリャンで、大麦エンドウこうじを使う。アルコール分約60パーセント。風味はまろやか。

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精選版 日本国語大辞典 「汾酒」の意味・読み・例文・類語

ふん‐しゅ【汾酒】

  1. 〘 名詞 〙 中国の山西省汾州で産する蒸留酒。原料のコーリャンに麯子(きょくし)を加えてつくったもの。

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飲み物がわかる辞典 「汾酒」の解説

フェンチュウ【汾酒 (中国)】


白酒(パイチュウ)と呼ばれる中国の蒸留酒の一種で、その代表的なもの。◇中国北部の山西省汾陽県杏花村を中心に生産される。主原料のコーリャンを蒸し、大麦とえんどう豆でつくった麹を加え、地中に埋めたかめで3週間ほど発酵させる。できたもろみ固体のままなので、蒸留はもろみを蒸して行うが、隙間を作って蒸気を通しやすくするために蒸した粟の外皮を混ぜて行う。この蒸留かすに麹を加えてかめに戻し再び発酵・蒸留(連醸)を行う。白酒には連醸を繰り返すものが多いが、汾酒ではこの2回のみ。また、伝統的な白酒の製法では、もろみに次に仕込む新たなコーリャンも一緒に混ぜ、蒸留と次の蒸しを同時に行うことが多いが、汾酒ではこれも行わない。蒸留後かめで3年以上熟成させて製する。梨に似た甘くさわやかな香りがある。アルコール度数は65度が一般的であったが、近年の嗜好の変化に合わせて25度前後の度数の低いものまでさまざまな強さのものがつくられるようになった。◇「汾清」と呼ばれた黄酒(ホワンチュウ)(醸造酒)が前身で、中国南北朝時代の正史『北斉書』(636年)にすでに記述がある。蒸留酒である汾酒にいつごろ変わったのかははっきりしていない。

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世界大百科事典(旧版)内の汾酒の言及

【山西[省]】より

…これに応じて製鉄,機械製造工業が発達し,紡績,織物,食品,製紙,日用化学工業などの軽工業も興ってしだいに自給が可能となり,近年ではセメント,化学肥料等の重工業も開始された。伝統的な特産品としては汾陽杏花(きようか)村の汾酒,清源(太原市清徐県)の陳醋(ちんさく)(中国酢)などが有名である。交通は鉄道を主とし,自動車道路は全省の人民公社の約90%にまで通じている。…

【汾陽】より

…漢代と唐代に置かれた汾陽県は現在の県とはまったく異なり,太原北西方の現在の静楽県西部にあたる。現在の汾陽県も鉄道からはずれた農村地帯にあるが,綿,クルミを特産とし,杏花村の〈汾酒〉は銘酒として全国に知られる。【河野 通博】。…

※「汾酒」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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