日本大百科全書(ニッポニカ) 「カガミダイ」の意味・わかりやすい解説
カガミダイ
かがみだい / 鏡鯛
mirror dory
[学] Zenopsis nebulosa
硬骨魚綱マトウダイ目マトウダイ科に属する海水魚。北海道以南の太平洋と日本海沿岸に生息し、朝鮮半島、東シナ海、南シナ海、オーストラリア、ニュージーランド、ニューカレドニア、ハワイにも分布する。全長70センチメートルに達する。体は円盤状で著しく側扁(そくへん)する。鱗(うろこ)はないが、背びれと臀(しり)びれの基底部と体の腹部の縁辺に沿って強い骨質の棘状板(きょくじょうばん)がある。背びれの棘間の皮膜は糸状に伸びる。腹びれの軟条は長く伸長する。体は青みを帯びた銀白色。幼魚には体側に約20個の眼径より小さい黒褐色の円斑(えんはん)がある。沖合いの水深80~615メートル(250~350メートルに多い)の貝殻混じりの砂底にすみ、魚類のほか、イカ、エビ類も食べる。南日本では1~2月に熟卵をもつ。幼魚も沿岸に近寄ることはない。刺身、総菜に用いるほか、かまぼこの原料にされる。皮はサビキ釣りの擬餌(ぎじ)として用いられることもある。近縁のマトウダイとは頭の背縁がくぼむこと、体側に明瞭(めいりょう)な黒斑がないことなどで区別できる。
[岡村 收・尼岡邦夫 2015年11月17日]