日本大百科全書(ニッポニカ) 「カダリー」の意味・わかりやすい解説
カダリー
かだりー
Clements Kadalie
(1896―1951)
南アフリカ最初の黒人労働組合指導者。ニアサランド(現マラウイ)で生まれ、出稼ぎ労働者としてケープ・タウンにいた1919年、同市の港湾労働者を組織して商工組合(ICU)を結成した。第一次世界大戦後の不況によって労働運動は急激に拡大し、ダーバン、ヨハネスバーグ、ブルームフォンテーンにICU支部ができ、組合員は最盛時10万人を超えた。しかし26年、本部をヨハネスバーグに移したためカラード(混血)の協力を失ったこと、機関紙発行による大幅赤字、組織内の共産党員との対立、また初期の労働組合から26年以降政府の人種差別主義に対する反政治闘争的性格を強めたことなどにより、29年ICUは解体した。
[林 晃史]