沖縄県国頭郡(くにがみぐん)にある町。沖縄本島北部の本部半島西部を占め、瀬底島(せそこじま)、水納島(みんなしま)を含む。1940年(昭和15)町制施行。1947年(昭和22)上本部村を分村したが、1971年再編入。方音ムトブ。八重(やえ)岳をはじめ、古生代の地層からなる山地状の地形。瀬底島、水納島は琉球(りゅうきゅう)石灰岩の低平な島。半島を巡る本部循環線(国道449号、505号)と、名護(なご)市―今帰仁(なきじん)村を結ぶ県道が渡久地(とぐち)で合する。瀬底島とは瀬底大橋で結ばれ、渡久地港は水納島への定期船の発着港。山地集落の多くは、廃藩前後に山アイ栽培を志した無禄(むろく)士族によって創設された集落。現在、山間地の斜面ではミカンなどの柑橘(かんきつ)類が栽培されている。伊豆味(いずみ)はその中心。また、大正時代からの伝統をもつカツオ漁業も盛ん。沖縄国際海洋博覧会(1975~1976)の跡地は、国営沖縄記念公園となっていて、公園内には沖縄美ら海水族館(おきなわちゅらうみすいぞくかん)、熱帯ドリームセンター、おきなわ郷土村などがある。面積54.36平方キロメートル、人口1万2530(2020)。
[堂前亮平]
『『本部町史』全6巻(1979~2002・本部町)』
沖縄県国頭(くにがみ)郡の町。人口1万3870(2010)。沖縄島(本島)北部の本部半島西部を占め,瀬底(せそこ)島,水納(みんな)島を含む。八重岳(453m)をはじめ,古生代の地層からなる小起伏の山地地形をなし,内陸部の山里,大堂(うふどう)には円錐カルスト地形が発達している。また北海岸に注ぐ塩川(天)は,鍾乳洞からの湧水に由来し,日本では珍しくかなりの塩分(海水の20%)を含むことで知られる。山間地にある集落の多くは廃藩前後に無禄士族が開墾したときつくられたもので屋取(やどり)集落と呼ばれる。これまで,沿岸部の平地ではサトウキビ,山間地の斜面ではパイナップル,ミカンが栽培されていたが,野菜,花卉,果樹への転換が進む。養豚,カツオ漁も盛ん。渡久地(とぐち)港は伊江島,伊是名(いぜな)島,伊平屋(いへや)島への定期船発着港でにぎわっていたが,現在は本部新港からの伊江島航路のみになった。1975年の海洋博会場は,現在国営沖縄記念公園海洋博地区となり,沖縄の代表的観光地となっている。瀬底島には瀬底大橋が架かる。
執筆者:堂前 亮平
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