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労働組合 ろうどうくみあい labour union

8件 の用語解説(労働組合の意味・用語解説を検索)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

労働組合
ろうどうくみあい
labour union

労働者が使用者との交渉において対等の立場に立ち,その労働条件について交渉するべき団体行動のために結成する団体。その組織形態としては,職種別組合産業別組合企業別組合一般組合などがあるが,日本では圧倒的に企業別組合 (企業内組合) が多い。

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知恵蔵2015の解説

労働組合

労働組合の古典的定義は、英国の優れた労働運動研究者であったウエッブ夫妻による「賃金労働者が、その労働生活の諸条件を維持または改善するための恒常的な団体」である。この定義は日本の労働組合法第2条を始めとして、各国の労働法制に受け継がれている。労働組合の組織形態としては、いくつかの類型がある。職業(能)別組合は同一職業の労働者で、徒弟修業を終了した熟練工の組合。近年は管理職組合のような専門性の高いプロフェッショナルズの組合も生まれている。産業別組合は同一産業で働く労働者を職種の別なく組織する組合。20世紀の大量生産工業の成立と共に発展した。日本では、産業別組合を単産(産業別単一組合)と呼ぶが、その実態は企業別組合が組織ごとに加盟する産業別の連合体組織といった方がよい。一般組合は、職業、産業、熟練のいかんを問わず、働く労働者の組織。歴史的には、職能別組織に加入を認められなかった不熟練労働者組織として成立。企業別組合は、組合員資格を企業あるいは事業所の従業員のみに限定する。一般に従業員であれば工員、職員の区別なく(ただし、通常正規従業員のみ)組織する工職混合組合である。この組織形態は日本で最も普遍的に見られ、単位組合の9割までが企業別組織である。労働組合は全体として退潮傾向にあり、厚生労働省「労働組合基礎調査」(毎年6月末現在)によると、2006年の推定組織率は18.2%と76年以降減少を続けている。過去最高は1959年の55.8%。

(桑原靖夫 獨協大学名誉教授 / 2008年)

出典|(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2015」
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デジタル大辞泉の解説

ろうどう‐くみあい〔ラウドウくみあひ〕【労働組合】

労働者が労働条件の維持・改善や社会的地位の向上などを目ざして、自主的に組織する団体。企業別・職業別・産業別・一般組合などの形態がある。労組。

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百科事典マイペディアの解説

労働組合【ろうどうくみあい】

賃金労働者がその労働条件や生活を維持・向上させるために自主的に団結した組織。歴史的には国家法上非合法のものとされたが,次第に合法化され,今日では国際的な労働組織も強化されるに至っている。
→関連項目太田薫第二組合トレード・ユニオニズムユニオン・ショップ

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人事労務用語辞典の解説

労働組合

労働組合は、労働組合法によって、「労働者が主体となって、自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体」と定義されています。複数の労働者の合意、宣言によって結成できますが、労働組合法に適合した「法適合組合」になるためには、構成主体が労働者であること、自主性を持つことなどの要件を満たす必要があり、その適合性は労働委員会の資格審査によって認められなければなりません。
(2009/3/16掲載)

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世界大百科事典 第2版の解説

ろうどうくみあい【労働組合 trade union】


【労働組合の本質】
 労働組合は賃金労働者が,労働者としての生活や地位の維持・改善を目的として,集団的に行動するために団結する組織である。イギリスのS.ウェッブはこれを〈生活条件を維持・改善するための賃金労働者の持続的団体〉(《労働組合運動史History of Trade Unionism》1920)と定義し,これが古典的定義とされてきたが,現代までの発展過程で,政治的問題や,企業経営や作業過程に対する労働者の発言権を拡張する問題に労働組合の活動領域が広がってきたため,この定義は現在の労働組合の活動を十分表現しえていないという批判がみられる。

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大辞林 第三版の解説

ろうどうくみあい【労働組合】

労働者がその労働条件の維持・改善、また経済的・社会的地位の向上を主たる目的として自主的に組織する団体。企業別・職業別・産業別などの形態がある。労組ろうそ

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

労働組合
ろうどうくみあい
trade union英語
labor unionアメリカ英語
Gewerkschaftドイツ語
syndicat ouvrierフランス語

賃金労働者が自分たちの賃金、労働時間をはじめ、労働・生活の諸条件を維持、改善するために、自主的かつ恒常的に結成した大衆組織をいう。思想、信条などの相違にかかわりなく、労働者の直接的・具体的要求に基づいて組織される大衆組織である点で、政治信条を基礎に結成される労働者政党とは区別される。労働組合は、労働者階級の大衆組織のなかでもっとも基本的なものとみなされている。[早川征一郎]

発生

労働組合は萌芽(ほうが)形態としてはすでに17世紀イギリスでみられた。労働組合はその発生当初から資本家や政府の厳しい弾圧下に置かれたので、自らを防衛し相互の助け合いを目的に、初めは共済組合や協同組合の形や秘密結社の形をとったりした。労働組合の本格的形成の歴史的前提条件は、資本主義的生産および資本・賃労働の階級関係の本格的展開にある。イギリスでは、18世紀の1760年代以降に展開された産業革命の過程で、紡績、石炭産業などを中心に急速な機械制工場工業の発達をみた。この過程は同時に、没落した農民、手工業者、さらに女性・児童をも賃金労働者として工場に導き入れ、低賃金、長時間労働に基づく過酷な搾取関係が展開した過程でもあった。こうした産業革命の進展の過程で、熟練労働者を中心とした組合結成の動きも広範にみられるに及んで、イギリスでは1799年、1800年に団結禁止法が制定された。だが、その弾圧法の下にあっても、組合の組織化、労働者の激しい抵抗が絶えることなく、1824年および1825年に至って、団結禁止法は撤廃された。ときにイギリスは、資本主義的生産としてはひとまず順調な発展を遂げた産業資本主義の時代に入ったが、労働組合運動もまた新たな展開を遂げた。
 こうして労働組合は、産業革命を通じた資本主義的生産の発展、資本家階級に対する労働者階級の社会的・大量的形成を前提条件にし、そのうえに本格的な発生をみた。したがって、その発生の理由は資本・賃労働関係そのもののうちにある。資本主義的階級関係の下では、生産手段をもたず、自らの労働力を資本家に売る以外には生活の道がない労働者の側は、労働力商品の売買において、相対的に弱い立場にたたされている。とくに産業予備軍、相対的過剰人口の不断の存在は、この事情にいっそう拍車をかける。経済的弱者たる賃金労働者は結局、団結することを通じ労働力商品の取引を一括して行い、それによって対抗力を強める以外にない。そうした努力から労働組合が生まれた。したがって労働組合が取り扱う問題は、初めは賃金、労働諸条件の改善など経済的要求に限られていた。だが、団結そのものに対する国家の対応との関係では、つねに団結や団体行動などの権利の問題が付きまとっていた。その意味では、団結には政治的性格が不断に伴っている。[早川征一郎]

組織形態・機能

労働組合の歴史上、さまざまな組織形態がとられてきたが、資本主義の発展段階との関連で重要な役割を演じたものとして、職業別組合、一般労働者組合、産業別組合の三つがあげられる。それらをみたうえで、日本で支配的な企業別組合にも触れることにする。[早川征一郎]
職業別組合craft union
労働組合の歴史のなかで、もっとも古い伝統をもつ。産業や企業のいかんを問わず、訓練を経て一定の技能水準に達した労働者が、職業の共通性を基礎として結成した組合である。産業革命による機械化を通じ労働の単純化が進み、大量の不熟練労働者が労働市場に流れ込んだ。これまで熟練労働者のものとなっていた仕事の領域にも入り込み、雇用・労働諸条件にも影響を及ぼした。これに対し、それぞれの職業の熟練労働者の利益を守るため、仕事につく資格のある熟練労働力の供給を規制しつつ生まれたのが職業別組合である。それゆえ、この組合は熟練労働者の排他的組織でもあった。これが可能であったのは、産業革命による機械化、労働の簡単化の進展にもかかわらず、生産過程でなお基幹的役割を演じたのは、一定の技能を習得した熟練労働者であり、その供給には限度があったからである。イギリスで1851年に生まれた合同機械工組合は、この職業別組合の一つの典型であった。
 職業別組合の政策、機能としては次の五つにまとめることができる。(1)徒弟制度の規制による熟練職種への入職制限。(2)仕事の縄張りの確定とその仕事の組合による独占。(3)仕事のやり方、スピードの規制。(4)以上を通じた標準賃率の設定。(5)自助の原則による自主的な共済制度の維持。こうした職業別組合は資本主義のひとまず順調な発展のなかで、保守的で穏健な性格をもっていた。やがて19世紀末からの機械化のいっそうの発展、技術変化に伴い、この組合の存立基盤であった熟練そのものの解体が進むに及んで、職業別組合は弱体化し支配的地位を譲った。[早川征一郎]
一般組合general union
職業別組合の弱体化、解体という旧組合主義の没落の過程は、同時に一般組合に代表される新組合主義の台頭の過程でもあった。一般組合は、各種の職業や産業にまたがる労働者、なかでも不熟練労働者を単一の組合の内部に広範に包含するものである。1889年のロンドンでのドック労働者のストライキは一般組合の発展の決定的契機となった。港湾、運輸、海運、ガス、炭鉱などで一般組合が結成され、古い組織の排他性も崩れ始めた。また社会主義思想も新組合主義と結合し始めた。一般組合の政策、機能としては、国家に対して、(1)公的な機関による職域の確保、(2)法定8時間労働日や最低賃金制、(3)社会保険による失業保障などを要求し、個別資本の枠を超えたところに特徴があった。すなわち、国家に対する労働者階級の運動としての性格を強め、政治闘争と結合しつつ、闘争形態も団体交渉やストライキ、立法闘争に訴えたりした。[早川征一郎]
産業別組合industrial union
資本主義が独占段階に入り、生産過程の機械化、技術変化を基調に大量生産方式が展開していくにつれ、旧型職種や熟練は分解し、新職種の発生、工業内分業の深化、作業の客観化、単純化が進んだ。この結果、半熟練・不熟練労働者が大量に出現したが、ここに職業や企業内部の熟練度の違いにかかわりなく、同一産業内部の全労働者を組織するものとしての産業別組合が出現する。1913年、イギリスの全国鉄道労働組合が先駆けとなったが、これ以後、産業別組織化が急速に進んだ。産業別組合の政策、機能としては、(1)ユニオン・ショップ制、(2)団体交渉による賃金、労働諸条件の決定、(3)産業政策、社会政策の要求などがあげられる。ユニオン・ショップ制は、雇用されると一定期間内に組合に加入しなければならず、また組合員資格を失った労働者は解雇されるという原則による労働市場統制を意味する。次に団体交渉による賃金、労働諸条件の決定は、産業別労働協約の締結を伴ったが、交渉不調による労使紛争の激化に対しては、争議調停仲裁制度が相伴った。さらに産業別組合の政策要求の展開は、産業別組合の政治的機能の発展を促した。いずれにしても、産業別組合は独占段階における労働者階級の大衆的闘争組織として、もっとも基本的な重要性をもつものとして評価されている。現在、欧米の労働組合ではこの産業別組織形態が支配的であるが、イギリスなどでは一般組合や職業別組合の伝統も残っている。[早川征一郎]
企業別組合enterprise union
第二次世界大戦後、日本における労働組合の組織形態としては、企業別組合が圧倒的に支配的である。企業別組合は、企業ないし事業所を単位とし、正規の従業員資格をもつ労働者を組合員とする組織である。すなわち、企業・事業所が単位となり、組合員の範囲は臨時工、パートタイマーなどを除く常用の従業員に限られる。しかも全従業員が職員、工員の区別なく一括加盟の形をとる。組合役員もまた組合員と同じく正規の従業員資格をもつことが前提となっている。こうした企業別組合が、日本でなぜ支配的であるかについては多くの議論のあるところであるが、職業別組合に始まる企業横断的組合の伝統を希薄ならしめた日本資本主義、日本の労働市場の特殊事情にその由来が求められる。すなわち、民間大企業や官公庁を中心に、終身雇用、年功賃金(年功序列型賃金)などを含む年功的労使関係が形成され、これと企業内福利厚生施設が相まって企業別組合を成立させたと考えられる。企業別組合は、その機能の展開にあたっては、企業別ユニオン・ショップ制、企業別団体交渉などを特徴としている。こうした企業別組合を単位産業別に結集した単位産業別連合体(単産)が成立しており、そこで産業別組合としての実質的機能を発揮しようとする努力も行われてきた。だが、欧米の産業別組合が基本的には企業横断的組合であるのに対し、日本の産業別連合体(単産)は「組合の組合」であり、横断性の弱い縦断組合=企業別組合の勢ぞろいたる性格を免れえない。[早川征一郎]

労働組合と法制

労働組合に対する国家の法制度上の対応は、歴史的には、抑圧から解放へ、団結権ついで争議権の保障、不当労働行為制度と争議調整制度の展開として把握される。ここではイギリスをはじめとする欧米の先進資本主義国を中心に触れる。イギリスでは産業革命の過程で1799年、1800年、それまでの個別的団結禁止政策にかわって団結禁止法が制定され、団結が一般的に禁止された。だが1824年、1825年、団結禁止法が撤廃され、抑圧から解放へ大きな一歩を踏み出した。さらに1871年の労働組合法は、労働組合の目的が取引の制限にあるという理由だけで不法なものとされることはない旨明らかにした。1875年の共謀罪および財産保護法はさらに進んで、争議行為の刑事免責を、1907年の労働争議法は民事免責を定めた。ただし1人で行っても違法でない行為を団結して行うと違法としていた点で、団結権の保障としては不十分さを残していた。
 20世紀に入り、団結権の保障を結社の自由と区別し憲法上の基本的人権として保障することが行われ始めた。1918年の革命の結果成立したドイツ共和国憲法(ワイマール憲法)がその先駆けとなり、第二次世界大戦後、イギリス、アメリカを除く、1946年のフランス第四共和国憲法、1947年のイタリア憲法、1949年のドイツのボン基本法など、ヨーロッパ先進国の憲法に受け継がれていった。だが、争議権が同様に憲法上の保障を受けたわけではなかった。アメリカ、イギリスでの争議権の保障は、争議行為を行っても法的制裁を受けないという消極的権利の保障たるにとどまった。より積極的な争議権の保障を行ったフランス、ドイツでも憲法上の保障としては行われなかった。団結権、争議権の法的保障に対し、団体交渉権の法的保障はむしろ対象外になっている。これは団結権、争議権を保障すれば団体交渉にまで法的保障を与える必要はないばかりか、団体交渉を法的に強制することも適当ではないという理由によるものであった。ドイツ、フランスでは団体交渉の結果である労働協約に法的効力を認めた。アメリカ、イギリスでは協約の法的効力を認めず、国が団体交渉に介入しないのが原則であった。ただアメリカでは、1935年のワグナー法で不当労働行為制度を導入し、その側面から団結、団体交渉への保障を行った。だが、別に労働争議調停・仲裁制度がいずれの国においても導入され、労使関係に対する国家の規制、介入はその点で強化された。[早川征一郎]

日本の労働法制

第二次世界大戦前、労働基本権の法的保障は行われず、反対に過酷な抑圧と取締りが支配的であった。1900年(明治33)治安警察法が制定され、組合結成、同盟罷業などが厳しく取り締まられた。さらに日本の労働・社会運動にマルクス主義の影響が及ぶにつれ、1925年(大正14)治安維持法が制定され、一段と過酷な弾圧が行われた。
 第二次世界大戦の終了とともに、日本の民主化の一環として弾圧法規の撤廃、労働組合法の制定によって、初めて労働組合が法認され法的保護を受けるようになった。とくに1947年(昭和22)5月3日施行の日本国憲法は、第27条で勤労権の保障、労働条件の法定をうたい、第28条で労働者の団結権、団体交渉権、団体行動権(争議権)を保障し、労働法制に憲法的基礎を与えた点で画期的なものとなった。しかし、1947年の二・一ストの中止命令、1948年のマッカーサー書簡・政令二〇一号、国家公務員法の改定、公共企業体等労働関係法(のちの国営企業労働関係法、現「特定独立行政法人等の労働関係に関する法律」=特労法)の制定を通じ、官公労働者の労働基本権は大幅な制約を受けることになった。また電気事業・石炭鉱業労働者に対する労働関係調整法による緊急調整規定、さらに実力行使の限界に関する労働次官通達(ピケット制限通達)など、多くの労働者が労働基本権を制限されている。こうして日本国憲法は、20世紀憲法として国際的にも先進的内容をもつに至ったが、労働基本権保障の現実的内容では多くの問題が含まれている。とりわけ、国家公務員、地方公務員は、国家公務員法、地方公務員法によって、団結権は保障されているものの、団体交渉権、争議権は否認されており、2002年(平成14)11月、ILO理事会によって、ILO87号条約・98号条約違反が指摘され改定勧告を受けたが、依然として否認されたままとなっている。[早川征一郎]

日本の労働組合

日本の労働組合運動は、日清戦争(にっしんせんそう)(1894~1895)後の産業革命の急速な進展のなかで自主的な組織を結成し、展開し始めた。その後の動きについては「労働運動」の項を参照されたい。[早川征一郎]
組織構造
今日、日本の労働組合の圧倒的多数は、企業・事業所を組織単位とし、正規の従業員のみを職員、工員の区別なく一括して組織する企業別組合である。もちろん例外的には、事業所などにかかわりなく同一の産業の労働者で組織する産業別単一組合、地域を中心に組織する地域組合などがないわけではない。とくに中小企業労働者の組織化に関連して、一般労働組合、合同労働組合などの役割が改めて見直されている。しかし、こうした組織形態をとるものはたいへん少数であり、圧倒的大部分が企業別組合である。この単位組合を基礎に巨大企業の場合は企業別連合体(企業連)を形成し、産業別連合体はこの単位組合、企業連のうえに成り立っている。さらにこの産業別連合体を結集して全国中央団体、すなわち日本労働組合総連合会(連合)、全国労働組合総連合(全労連)といったナショナル・センターが成立している。また単位組合は、地区労働組合協議会(地区労)や地方労働組合評議会(地評。都道府県単位)など地域組織の基礎にもなっており、この地域組織が全国中央組織の補完的な下部組織となっている。単位組合が産業別連合体に加入する形式は、個人加入の形ではなく組合単位の一括加入の形をとる。
 このように労働組合の全組織構造のなかで、企業別組合が強固な地歩を占める。この点でとくに産業別連合体(単産)と企業別組合、企業別連合体(企業連)との関係が中心的な問題となる。企業別組合からの脱皮、産業別組織機能の強化が長年の課題とされてきたが、たとえば組合財政の掌握でもっとも力をもつのは企業連であり、団体交渉の中心も一部例外を除いて企業連(とくにその中心にある大企業組合)が実質的交渉機関となっている。経営者団体と産業別組合とが交渉し、協定締結に至る慣行が形成されているのは、全日本海員組合(海員)などの例外を除けばほとんどない。また地域組織の交渉機能も弱く、実際は春闘時の情報交換や一時的な大衆行動組織となっている事例が多い。企業別組合からの脱皮、産業別・地域別組織強化は古くして新しい課題であるが、とくに1960年代末以降、民間大企業組合の比重が著しく増しただけでなく、同時に企業内組合化の傾向も著しく顕著になっていることも懸念される。同時に、その流れに対抗する動きも強まっている。[早川征一郎]
組織現状
第二次世界大戦前の日本では労働組合は、組合員数の最高約42万人(1936)、推定組織率の最高7.9%(1931)にとどまった。戦後、労働組合の急速な結成が進み、組織率では1948~1949年、5割台を記録した。組織人員(組合員数)では1965年以来1000万人台に達し、2008年(平成20)6月末現在1006万5000人である。しかし雇用者数との比率でみる推定組織率では1975年以来漸減傾向にあり、2008年6月末現在18.1%となっている。日本の労働者の3分の2以上が未組織であること、企業別組合が圧倒的多数であるため、中小企業労働者の大半、大企業でも臨時工、パートタイマーなど賃金、労働条件とも劣悪な層が放置されていることは、労働者階級の連帯強化、日本の低賃金水準・労働条件の克服、底上げにとっても大きな障害となっている。ただ、増大するパートタイマーの組織化も近年、徐々に進み始め、2008年6月末現在、61万6000人となり、全労働組合員に占める比率は6.2%、パート労働者における組織率は5.0%となっている。
 次に産業別の組織状況をみると、2008年6月末現在組織率の高いのは、電気・ガス・熱供給・水道業59.3%、複合サービス業57.6%、公務44.7%、金融・保険・不動産業44.5%であり、低いのは農業・林業・漁業2.6%となっている。この組織率の高低は、実は当該産業における企業規模分布と密接に関連している。たとえば電気・ガス・熱供給業では大企業を含んでいる。反対に農業・林業・漁業では中小零細分野を多く抱えている。規模別組織率の大きな格差と産業別組織率格差は相関関係にある。民営企業で企業規模別組合員数構成をみると、1000人以上で59.1%、300~999人で15.0%であり、その合計で7割以上に達する。100~299人で8.4%、30~99人で2.9%、29人以下で0.4%であるから、大企業での組織率は高いが、小零細企業での組織状況はきわめて低いことがわかる。
 次に2008年現在の適用法規別の組合員数では、労働組合法80.2%、特労法2.5%、地方公営企業労働関係法1.6%、国家公務員法1.5%、地方公務員法14.3%となっている。主要団体別にみると、連合676万人(67.2%)、全労連89万人(8.9%)、全国労働組合連絡協議会(全労協)14万人(1.4%)である。
 以上が組織現状の要点であるが、1980年代における労働戦線の一大再編の動向がとくに注目される。1982年12月には全日本民間労働組合協議会(全民労協)が発足した。この全民労協は、既存のナショナル・センターの枠を超え、民間ビッグ・ユニオンを中心とする組織の結集体となっている。そして1987年11月、同組織はさらに連合体へと発展した。55単産、1オブザーバー加盟、6友好組織、計62組織、555万人が参加した全日本民間労働組合連合会(民間連合)がそれである。民間連合の結成とともに同盟、中立労連は解散した。さらに総評も、官公労を含めた「全的統一」を目標に掲げ、1989年11月、全日本民間労働組合連合会と官公労組が統一して日本労働組合総連合会(連合)が結成されたことに伴い解散した。こうした労働戦線の一大再編の動きに対し、これを右翼的戦線統一だとして強く批判・反対する対抗勢力の動きも強まり、それらの勢力は連合と対抗して全労連に結集した。日本における労働戦線は、戦前・戦後とも離合集散を繰り返してきた。今日の新しい動向がどのような方向に落ち着くか、その帰趨(きすう)が大いに注目される。[早川征一郎]

世界の労働組合

これまで国際組織として重要な役割を演じてきたのは、世界労働組合連盟(WFTU)、国際自由労連(ICFTU)、国際労働組合連合(WCL)の三大組織である。このうち日本との関係の深いのはICFTUとWFTU、なかでも前者であった。ICFTUは、それがWFTUから分裂(1949)してできたいきさつが示すように、反共的性格が強かったが、現在ではその性格は大幅に薄らいでいる。なお、有力な資本主義国の労働組織のなかでも、フランス労働総同盟は、WFTUの組織が激減したとはいえ、依然としてWFTUに加盟している。連合は、ICFTUに加盟している。だが、1980年代末からの東欧の変動、ソ連の解体のなかで、WFTUの組織が大幅に弱体化し、かつ日本への影響も小さくなった。その時点で、WFTUに残ったおもな組織は、フランス労働総同盟(CGT=セージェーテー)、キューバ労働総同盟(CTC)、朝鮮職業総同盟、全インド労働組合会議(AITUC)、ベトナム労働総同盟など数えるばかりとなった。
 2006年11月、既存の国際自由労連および国際労働組合連合を基盤とし、それにこれまで国際組織に加盟しなかった「独立系」ナショナル・センターが合流し、国際労働組合総連合(ITUC)が結成された。結成時点では、世界153か国・地域から304の労働組合ナショナル・センター、組合員数約1億6800万人であった。国際自由労連および国際労働組合連合は発展的に解消した。連合は、ITUC結成と同時に一括加盟した。
 現在、世界各国において組織されている労働組合も、こうした国際組織となんらかの関係を保っている。とくに、ITUCは、AFL-CIO(アメリカ労働総同盟・産業別組合会議)やイギリス労働組合会議(TUC)、ドイツ労働総同盟(DGB)など先進資本主義諸国および発展途上国諸国の労働組合を中心に幅広く組織している。[早川征一郎]
『大河内一男他著『日本労働組合物語』全5巻(1965~1973・筑摩書房) ▽ものがたり戦後労働運動史刊行委員会編『ものがたり戦後労働運動史』全10巻(1997~2000・教育文化協会) ▽法政大学大原社会問題研究所編『日本の労働組合100年』(1999・旬報社) ▽法政大学大原社会問題研究所編「特集 国際労働組合運動の50年」(『日本労働年鑑 第70集』所収・1999・旬報社) ▽法政大学大原社会問題研究所編『日本労働運動資料集成』全14巻(2005~2007・旬報社) ▽法政大学大原社会問題研究所編「特集 国際労働組合総連合(ITUC)の結成」(『日本労働年鑑 第78集』所収・2008・旬報社) ▽法政大学大原社会問題研究所編『日本労働年鑑』とくに第3部「労働組合の組織と運動」各年版(旬報社) ▽厚生労働省編・刊『労使関係総合調査(労働組合基礎調査)』各年版』

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世界大百科事典内の労働組合の言及

【サンディカリスム】より

…サンディカsyndicat(組合)を語源とするフランス語で組合の形態をとる社会的運動を指す。英語ではシンディカリズムsyndicalism。…

【企業意識】より

…企業意識の状態は労働者の態度調査(モラール・サーベイ)などで明らかにされるが,その指標には企業の経営方針や労働条件に対する満足度,経営幹部や職場の上役に対する信頼性,企業の経営実績や会社に対する評価などが用いられる。 欧米諸国の労働者と比較すると,日本の労働者は企業意識が強いといわれるが,その生成要因としては,〈和の精神〉に基づく経営家族主義的イデオロギーや,業績原理よりも属性原理を重視する集団主義など,日本の社会構造を特徴づける文化的特質の存在,終身雇用の慣行(終身雇用制)や年功序列的昇進と勤続年数を重視した年功賃金などの制度的特質(年功的労使関係),恩恵的な福利厚生制度(企業福祉),企業別に組織された労働組合と企業の枠のなかでの協調的な労使関係,などをあげることができよう。このような要因によって規定された労働者の企業意識は,労働者が労働組合に対してもつ組合意識と矛盾・対立することは少ない。…

【企業別組合】より

…日本の労働組合は次の特徴をもっている。(1)一企業またはその企業に所属する事業所ごとに一つの組合がある場合が多い。…

【争議権】より

…このうち〈その他の団体行動をする権利〉が争議行為をする権利,すなわち争議権をさすと解されている。
[争議権の意義]
 労働者は,賃金労働時間その他の労働条件を維持・改善し,その経済的地位の向上を図るために労働組合を結成またはこれに加入する権利(団結権)を保障され,使用者またはその団体と対等な立場で交渉しその結果を労働協約として締結する権利(団体交渉権)をもつ。しかし,団体交渉が不調に終わり合意に達しない場合,あるいは労働協約が遵守実行されない場合には,交渉の進展を求めて新たに合意するまで,すなわち新たな労働協約が締結されるまで,あるいは労働協約が完全に実行されるまで,労働組合または争議団は労働の提供を拒否することができる。…

【争議団】より

…労働組合は争議行為を行うが,労働組合を結成していない未組織労働者も一時的に集団を組み,使用者と交渉することができるし,またもし交渉が不調に終われば争議行為を行うことができる。この一時的な争議集団を争議団とよぶ。…

【日本資本主義】より

…そして20年代には新たに大企業と中小企業との間にいわゆる二重構造(とくに賃金格差構造)が成立し,重工業大企業では熟練工を企業内に確保するための年功賃金制(年功的労使関係)が成立し,また労働争議に対処して工場委員会制度による労働者の企業内組織化が進んでいった。それに対応して政府の労働政策も,労働組合を事実上公認してそれを取り締まる方向に転換してくるが,治安警察法の改正と同時に制定された労働争議調停法が,その母法となるべき労働組合法が成立せずに施行され,20年代後半に頻発する中小企業の労働争議に適用されながら,集団的労資関係の未成熟のまま警察行政と結びついた法外調停が主流となった点にみられるように,労働権の公認を基礎とする現代的労資協調体制は成熟しないで終わった。
[地主勢力の後退]
 段階的変容の第3は,第1次大戦期の急激な農産物市場ならびに労働市場の拡大を契機にして農村へ貨幣経済が浸透し,一方で地主層の有価証券投資が進み,他方で自小作・小作農民の商品生産者化,兼業農業化が進み,それを背景にして20年恐慌後米価が低迷するなかで小作争議が広範に展開し,そのために地主採算が悪化して地主制が後退過程に入ったことである。…

【友愛】より

…教育の面では,J.B.バゼドーやペスタロッチなどによって近代教育の基礎におかれ,政治の面では,フランス大革命の標語(自由,平等,博愛)ともなって,人権思想や近代民主主義の基本理念となった。 他方,社会的な制度としては,工業化の進展するなかで,同業組合や遍歴制度はしだいに廃れたが,しかし労働者・職人の間で友愛団体の伝統は存続し,労働組合の母胎ともなり,またさまざまな仲間団体として政治活動や社会活動の基盤となった。さらに高等教育の普及とともに,各種学生団体(たとえばドイツのブルシェンシャフトやアメリカのフラターニティのファイ・ベータ・カッパーなどが有名)を生んだ。…

【連合】より

…日本労働組合総連合会の略称で,民間と官公庁のおもな労働組合が結集する日本最大のナショナルセンター。1989年(平成1)結成。…

※「労働組合」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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