日本大百科全書(ニッポニカ) 「ダーバン」の意味・わかりやすい解説
ダーバン
だーばん
Durban
南アフリカ共和国東部、クワズールー・ナタール州(旧ナタール州)南部の港湾都市。インド洋に臨む。人口113万7378(1991)で、人種別内訳は白人32万8183、カラード(混血)6万4876、アジア系57万5268、黒人16万9051。市域の人口59万5061(2011センサス)、大都市圏人口211万7650(1996)。モザンビーク海流の影響を受け、亜熱帯に属し暖かく、年降水量も999.4ミリメートルある。白人の入植は1824年のイギリス領ケープ植民地からの交易商人が始まりで、当初はポート・ナタールとよばれた。1830年代、入植者の増加とともに町は発展し、当時のケープ総督B・ダーバン卿(きょう)の名にちなみダーバンと改名された。19世紀後半、内陸部のウィトワーテルスランドで金鉱が発見され、ダーバンの港としての重要性は高まり、1890年代に金鉱地帯との間に鉄道が建設された。町はウムゲニ川とウムラース川の間にあり、港は天然の良港で貨物取扱量は南アフリカ共和国第2位である。街並みは碁盤目状に整然と並び、海岸沿いはリゾート地域で、ホテルが林立し、シティ・ホール、博物館、美術館、図書館をはじめ古い建物がある。また市内には植物園、競馬場のほか、背後の丘の上にはナタール大学がある。この港を通じて輸出される主要品目は鉄鉱石、砂糖、輸入品は石油、資本財などである。精糖、繊維、せっけん、ゴム、肥料、食品、石油精製などの工業もあり、とくに精糖業は同国第一である。
[林 晃史]