カダルソ(読み)かだるそ(その他表記)José de Cadalso y Vázquez

日本大百科全書(ニッポニカ) 「カダルソ」の意味・わかりやすい解説

カダルソ
かだるそ
José de Cadalso y Vázquez
(1741―1782)

スペインの作家、軍人。南西部の港町カディスの貿易商の家に生まれ、中等教育はパリで受けるなど、若いときからヨーロッパ各地で見聞を広める。21歳のとき騎兵連隊に入り軍人の道を歩み始めるが、モラティンなど当代の作家たちとの交流から自らも文学に開眼する。悲劇『ドン・サンチョ・ガルシア』、それに出演した恋人の死に深刻な打撃を受けて書いた、ロマン主義の黎明(れいめい)を告げる『陰鬱(いんうつ)な夜』(1789~90)、さらに書簡体で当時の世相を批判した『モロッコ人の手紙』(1789)などの作品がある。ケベードグラシアン・イ・モラーレスなどスペインの伝統的なストア主義的幻滅の作風を継承する作家である。

[佐々木孝]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

南海トラフ臨時情報

東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。2019年に運用が始まった。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が...

南海トラフ臨時情報の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android