改訂新版 世界大百科事典 「モラティン」の意味・わかりやすい解説
モラティン
Leandro Fernández de Moratín
生没年:1760-1828
スペインの劇作家。18世紀後半から19世紀初めころにかけての新古典主義を代表する作家の一人。典型的な親フランス派で,シェークスピアの《ハムレット》を初めてスペイン語に翻訳したのも彼だが,フランス演劇,特にモリエールを好み,《亭主学校》や《心ならずも医者にされ》を翻訳している。作家としては5編の喜劇を残しているが,代表作は《娘たちの“はい”El sí de las niñas》(1806)である。また当時,演劇についての造詣の深さにおいては彼の右に出る者はなく,《スペイン演劇の起源》を残している。親フランス派の政権下にあっては〈演劇審議会〉をはじめとして文化的要職にあったが,親フランス派が倒れるとフランスに亡命した。なお,彼の父親ニコラスも親フランス派の著名な作家であった。
執筆者:乾 英一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報