改訂新版 世界大百科事典 「カティーサーク」の意味・わかりやすい解説
カティーサーク
Cutty Sark
19世紀のイギリスの快速クリッパー。3本マストのシップ型帆船で,1869年クライド川沿いのダンバートンで建造された。登録された総トン数は963トン,全長85m,幅11m。帆の枚数は34枚でその総面積3047m2。当時の快速クリッパー,サーモピレーThermopylaeに対抗できるティークリッパーを目ざして建造されたもので,船尾には船主の心意気を示すかのように〈精神一到何事か成らざらん〉という意味の言葉が記されている。しかし当時は汽船が帆船にとってかわる時代であり,結局,中国茶をロンドンへ運んだのは8航海のみで,その後はオーストラリアから羊毛を運ぶウールクリッパーとして使用された。95年以後は国籍が変わったが,1922年篤志家により再びイギリス人の手に戻り,38年テムズ航海学校へ寄贈された。その後53年にはカティーサーク保存協会へ寄贈され,現在はグリニジの乾ドック内で博物館として公開されている。なお,船名はR.バーンズの詩《シャンターのタム》の中に出てくる魔女が着ていた短い下着の名からとったものである。
執筆者:庄司 邦昭
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報