クリッパー(英語表記)clipper

翻訳|clipper

デジタル大辞泉 「クリッパー」の意味・読み・例文・類語

クリッパー(clipper)

草刈り機。
毛髪用のはさみ。また、羊の毛を刈る鋏。
快速の大型帆船。特に19世紀中ごろ、遠洋航路で活躍した帆船。多数の帆と頑丈な船体をもつ。
長距離用の快速飛行艇。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「クリッパー」の意味・読み・例文・類語

クリッパー

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] clipper )
  2. 草刈り機。
  3. 羊毛を刈るバリカン
  4. 一九世紀中ごろおもに東洋貿易に活躍した快速帆船。三本の高いマストと、長くつき出した船首もち、船体は細長い。〔現代語大辞典(1932)〕
  5. 長距離用の快速飛行艇。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

改訂新版 世界大百科事典 「クリッパー」の意味・わかりやすい解説

クリッパー
clipper

貨物積載能力よりも速力に重きをおいてつくられた快速帆船。〈クリッパー〉には元来,速く動く人(物)の意味がある。18世紀ころまでの帆船は,特殊な軍艦や海賊船を除いてさほど速力を必要としなかった。アメリカ植民地に対するイギリス本国政府の圧政に対抗して独立の気運が高まるとともに,植民地人による密輸船が急増した。政府監視船に捕まらないような快速船であることが密輸船としての条件だったが,ボルティモアのオランダ系移民がヨットを模してつくった帆船の性能が特に優れていたので,これをボルティモア・クリッパーと呼んだのがクリッパーという名称の起りである。本格的な航洋クリッパーは1833年にボルティモアで建造されたアン・マッキムAnn McKimが最初だという。48年に始まるゴールドラッシュで,東部からの採掘者を南アメリカのホーン岬回りで運んだのがカリフォルニア・クリッパーである。

 一方,1830年代に入って急膨張した中国沿岸におけるアヘン(阿片)の密貿易で,イギリス商人が中国官憲の手を逃れるために使った快速帆船がオーピアム・クリッパーである。原型はボルティモア・クリッパーに範を取り,スコットランドアバディーンでつくられたアバディーン・クリッパーである。従来の垂直に近い絶壁のような船首と異なり,波切りのよいえぐり取ったように鋭い船首の形状がアバディーン・クリッパーの特徴で,クリッパー型船首の典型となった。ただアバディーン・クリッパーは沿岸航海用で,波の荒い外洋ではボルティモア・クリッパーなどのいわゆるヤンキー・クリッパーに及ばなかった。49年にイギリスの航海法が廃止されて中国貿易の門戸が開かれたとき,中国からイギリスへ最初の貨物を運んだのもヤンキー・クリッパーで,オリエンタル号は50年,香港・ロンドン間95日という記録を残した。52年ころに始まった中国茶をイギリスへ運ぶティー・クリッパー・レースでも,最初はヤンキー・クリッパーが優勢だったが,アメリカ南北戦争勃発でイギリス帆船の独壇場になった。ティー・クリッパーは年を追って改良され,69年に出現したカティーサークで頂点に達した。しかし,同じころ開通したスエズ運河によって汽船での中国茶航路が開かれたため,ティー・クリッパーは急速に衰退した。汽船では燃料補給が困難だったオーストラリア航路に転進した帆船は,羊毛を運んでウール・クリッパーと呼ばれた。オーストラリア航路では荒天が多く,速力より安全性を重んじるようになったが,やがて汽船にその地位を奪われ,19世紀末までに姿を消した。
帆船
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

百科事典マイペディア 「クリッパー」の意味・わかりやすい解説

クリッパー

1830年ごろから汽船の発達まで,広く世界の海に活躍した快速航洋帆船。大きい横帆をそなえ,荒海に耐える船体をもち,大西洋,インド,オーストラリア航路などで盛んに使われた。米国ボルティモアで建造されたのが最初といわれ,当初は米国クリッパーが主流だったが,南北戦争を境に英国クリッパーが優勢を占めるようになった。特に中国の茶をヨーロッパに運んだティークリッパーが海運史上有名。
→関連項目帆船

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

デジタル大辞泉プラス 「クリッパー」の解説

クリッパー

日産自動車が2003年から販売している軽自動車。5ドアのライトバン、およびワンボックス。三菱自動車工業のミニキャブ、タウンボックスのOEM車。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

世界大百科事典(旧版)内のクリッパーの言及

【交通】より

…中国の茶,オーストラリアの羊毛を欧米の市場にできるだけ早く運ぶ快速帆船は,それぞれティー・クリッパー,ウール・クリッパーと呼ばれた。〈時間をはさみで切り落とすように短縮する〉という意味の〈クリッパーclipper〉には,輸送にかかる時間はできるだけ少ないほうがよいというモビリティの性格がよく表れている。しかし風を動力として利用する交通手段は,19世紀後半,エンジンを動力とする交通手段に道をゆずった。…

【ミスジチョウ(三条蝶)】より

…越冬後の幼虫は,カエデの萌芽のころ,水分を吸収して脱皮し,終齢となってから摂食を再開する。 ミスジチョウ類(英名clipper)には数種の国産種がある。やや大型のオオミスジN.alwinaは年1回の発生,小さな幼虫が越冬し,ウメ,アンズなどバラ科植物を食べる。…

【交通】より

…17世紀から18世紀にかけて海上で覇権を争う海戦に勝利を得るため,帆船技術が著しく進歩したからである。中国の茶,オーストラリアの羊毛を欧米の市場にできるだけ早く運ぶ快速帆船は,それぞれティー・クリッパー,ウール・クリッパーと呼ばれた。〈時間をはさみで切り落とすように短縮する〉という意味の〈クリッパーclipper〉には,輸送にかかる時間はできるだけ少ないほうがよいというモビリティの性格がよく表れている。…

※「クリッパー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android