改訂新版 世界大百科事典 「カーチンガ」の意味・わかりやすい解説
カーチンガ
caatinga
ブラジル北東部の半乾燥気候の地域に分布する有棘低木,サボテン,アガベ(リュウゼツラン)などが混在する植生をいう。この地域では年降水量が300~800mmであるが,乾季と雨季が明瞭で,乾季には,すべての木々が葉を落とし,乾燥して白茶けた土壌とともに,カーチンガ(インディオの言葉で〈白い森〉の意)そのものの様相を呈する。ところが雨季になり,1~2回でも雨が降ると,白い森は一変して緑になる。カーチンガといっても,降水量や土壌あるいは放牧などの人為作用によって,その様相は異なる。たとえば,年降水量が300~400mmで,土壌の浅い地域では,樹高が2m程度の有棘低木,サボテン,アガベから構成され,特にカリリス・ベーリョスと呼ばれる。年降水量は500~800mmでも,透水性が小さく,浅い土壌で,人為作用の強い地域のものは,有棘低木とサボテンで構成されセルトンと呼ばれる。
執筆者:西沢 利栄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報