カーチンガ
caatinga
ブラジル北東部の半乾燥気候の地域に分布する有棘低木,サボテン,アガベ(リュウゼツラン)などが混在する植生をいう。この地域では年降水量が300~800mmであるが,乾季と雨季が明瞭で,乾季には,すべての木々が葉を落とし,乾燥して白茶けた土壌とともに,カーチンガ(インディオの言葉で〈白い森〉の意)そのものの様相を呈する。ところが雨季になり,1~2回でも雨が降ると,白い森は一変して緑になる。カーチンガといっても,降水量や土壌あるいは放牧などの人為作用によって,その様相は異なる。たとえば,年降水量が300~400mmで,土壌の浅い地域では,樹高が2m程度の有棘低木,サボテン,アガベから構成され,特にカリリス・ベーリョスと呼ばれる。年降水量は500~800mmでも,透水性が小さく,浅い土壌で,人為作用の強い地域のものは,有棘低木とサボテンで構成されセルトンと呼ばれる。
執筆者:西沢 利栄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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世界大百科事典(旧版)内のカーチンガの言及
【サバンナ】より
…サバナともいう。アフリカ中部のいわゆるサバンナ,南米北部の[リャノ]llano,カーチンガcaatinga,[カンポ]campoなどのほか,オーストラリア北・中部,インド半島,カリブ海地方などに分布し,丈の高い草原の中に孤立木が散在する長草サバンナを主体とするが,気候,土壌等の条件の差に応じてその相観はさまざまである。語源はカリブ語のzavanna(草原,平野の意)がスペイン語のsabanaとなり,トリニダード島などの旧イギリス領で英語に取り入れられてアフリカに伝わったらしい。…
【サバンナ】より
…サバナともいう。アフリカ中部のいわゆるサバンナ,南米北部の[リャノ]llano,カーチンガcaatinga,[カンポ]campoなどのほか,オーストラリア北・中部,インド半島,カリブ海地方などに分布し,丈の高い草原の中に孤立木が散在する長草サバンナを主体とするが,気候,土壌等の条件の差に応じてその相観はさまざまである。語源はカリブ語のzavanna(草原,平野の意)がスペイン語のsabanaとなり,トリニダード島などの旧イギリス領で英語に取り入れられてアフリカに伝わったらしい。…
※「カーチンガ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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