日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガウスの整数」の意味・わかりやすい解説
ガウスの整数
がうすのせいすう
x、yを整数とするとき、x+yiのような複素数をガウスの整数という。このような整数の全体をZ[i]とすると、Z[i]は普通の整数の集合Zを含んでいる。そしてガウスは、この集合Z[i]において、普通の整数の集合Zにおいて行われる整数の理論を拡張、展開し、今日の代数的整数論の基を創設したのである。
pを素数とする。整数mが
m=xn+py (x,yは整数)
と表されるとき、mはpを法とするnべき剰余であるとよばれる。ガウスは1801年に出版した有名な著書『整数論』において、二べき剰余に関する理論を展開し、二べき剰余の相互法則に到達した。これは
ax2+by2=c
のような2次の不定方程式の理論の基になる重要な法則である。
ガウスは後年(1821)さらに四べき剰余の相互法則の研究を発表し、その理論のために整数の場を拡張した。それがガウスの整数である。
[寺田文行]