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素数 そすうprime

翻訳|prime

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

素数
そすう
prime

1より大きい整数 p が,1と p 以外には約数をもたないとき,p を素数という。たとえば 2,3,5,7,11,13,17,19,23,…はみな素数である。素数でない任意の自然数は,一意的に素因数分解できる。自然数 n が素数であるかどうかは,2≦p≦√n の範囲にあるすべての素数 pn を割って,割り切れるかどうかで判断できる。すなわち,割り切れなければ n は素数,割り切れれば n合成数であると判断する。エラトステネスのふるいも本質的には,これと同じ原理によって素数を判定している。またメルセンヌ素数も素数の有力な判断法を提供している。素数が自然数のなかにどのように分布しているかについての研究は,整数論の重要な一部分で,素数分布論という分科もある。素数は古代から認識されており,ユークリッドは素数が無限に存在することの証明を行なっている。20世紀になってコンピュータを用いることで 200万桁を上回る素数が確認されている。

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知恵蔵の解説

素数

1と自分自身以外では割り切れない自然数。2、3、5、7、11、13、17、19……と続き、無限個存在することが、古代ギリシャでユークリッドによって示されていた。「3と5」、「5と7」、「11と13」のように、偶数の両隣の組になっている素数を双子(ふたご)素数という。双子素数は無限個あると予想されているが、未解決である。知られている最大の双子素数は2003663613×(2の195000乗)±1(2007年9月現在)。また、4以上の偶数は2つの素数の和として書けるという予想(ゴールドバッハの予想: Goldbach conjecture)も未解決。4=2+2、6=3+3、8=3+5など。大きな素数は公開鍵暗号に利用されている。コンピューターを使い大きな素数を発見する研究が行われており、2006年9月に発見された2(2の32582657乗)-1が、現在具体的に知られている最大の素数。その桁数は約981万桁(けた)。このように、(2のn乗)-1の形の素数はメルセンヌ(Mersenne)素数と呼ばれ、07年9月末現在、素数になるnが計44個知られている。素数の分布はリーマンのゼータ関数(リーマン予想)と関係している。ある自然数が素数であるかどうかを判定することは実用上重要であるが、02年にアグラワル(M.Agrawal)、カヤル(N.Kayal)、サクセナ(N.Saxena)の3人のインド人研究者によって、多項式時間で判定できるという驚くべき結果が得られた。

(桂利行 東京大学大学院教授 / 2008年)

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デジタル大辞泉の解説

そ‐すう【素数】

1とその数以外に約数がない正の整数。2・3・5・7・…など無限にある。→合成数
[補説]100までの素数は、2、3、5、7、11、13、17、19、23、29、31、37、41、43、47、53、59、61、67、71、73、79、83、89、97。25個ある。

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百科事典マイペディアの解説

素数【そすう】

1より大きい整数のうち,1とそれ自身以外に約数をもたないもの。たとえば2,3,5,7,11など。素数は無限に多く存在する。任意の自然数は素数のべきの積として一意的に表される(素因数分解)。
→関連項目自然数リーマン予想

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世界大百科事典 第2版の解説

そすう【素数 prime number】

1よりも大きい自然数で,1と自分自身以外に約数をもたないもの。例えば,2,3,5,7,11などである。2以外の素数は奇数なので奇素数という。1以外の自然数で素数でないものおよびそれにマイナスの符号をつけたもの(±4,±6など)を合成数という。与えられた自然数nが素数かどうかを判定するには以下の素数で割れるかどうか調べてみればよい。以下の数が素数かどうかわからなければそれでも割ってみる。しかし大きな自然数が素数かどうかを判定するのは一般に容易でない。

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大辞林 第三版の解説

そすう【素数】

1 と自分自身以外には約数をもたない正の整数。 1 は素数の中に含ませない。素数は 2 、 3 、 5 、 7 、 11 、 13 …など無限にあることがギリシャ時代から知られている。 ↔ 合成数

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

素数
そすう
prime number

1と自分自身以外に約数をもたない自然数のうち1でないものを素数という。自然数aが自然数bを割り切ることをa|bという記号で表す。1でない自然数pが素数であることはまた、自然数a、bに対してp|abならば、p|aまたはp|bが成り立つ、ともいいかえられる。
 ユークリッドの『ストイケイア』のなかに、素数は無数に存在することが証明されている。その証明を現代風に述べてみる。2、3、5、……、pがすべての素数であるとし、N=(2・3・5・……・p)+1という数を考える。Nは2、3、5、……、pのいずれによっても割り切れない。したがって1と自分自身以外に約数をもたないのでNは素数である。Nは2、3、5、……、pのどれにも一致しないから、それらがすべての素数であるという仮定に反する。したがって素数の数は有限ではない。
 素数表をつくるには「エラトステネスのふるい」と称する方法を用いる。現代でも基本的にはこの方法を改良して素数表をつくる。最初に2から順に自然数を並べる。まず2を残し、2の倍数を消していく。次に残った数のなかで最小の数3を残し、3の倍数を消していく。次に残った数のなかで最小の数5を残し、5の倍数を消していく。以下同様に続けて素数表を得る。なおエラトステネスは紀元前3世紀ごろのギリシアの天文学者・地理学者である。
 2以上の自然数は素数の積として表せる。またその表し方は順序を除けば一意的である。たとえば12は3×2×2と素因数分解される。それ以外にも2×2×3,2×3×2と素因数分解が考えられるが、これらはすべて因数の順序を入れ換えれば同一の分解となる。素因数分解とその一意性についてはユークリッドの『ストイケイア』に記述があるが、その重要性は、ガウスの『数論研究』Disquisitiones Arithmeticae(1801)に至るまで十分認識されなかった。その重要性は、複素数にまで整数の概念を拡張するとき、かならずしも素因数分解とその一意性が成り立たないことによって逆に認識される。
 11と13、17と19のように差が2の素数の組を双子素数という。双子素数は無数に存在するという予想があるが、現在未解決の問題である。[足立恒雄]

算術級数の定理

たとえば一位の数が1である素数としては11,31,41,61,71などがある。また一位の数が3である素数としては3,13,23,43,53,73,83などがある。はたしてこれらの素数はそれぞれ無数にあるだろうか。このような素数の無限性を精密にした疑問に答えるのが算術級数の定理であって、1837年ディリクレによって初めて正確に証明された。
 いま、a、dを互いに素な自然数とする。等差数列a,a+d,a+2d,……,a+nd,……のなかには無数に素数が存在する。たとえばaを1、dを10とすれば、一位の数が1である素数が無数に存在することを意味する。証明は

という素数のすべてにわたる和の級数に関する性質を用いて行われる。とくにsが1に近づくときf(s)は発散する。このことから素数が無数にあることがわかる。なぜなら、有限個ならばf(s)はいつでも確定するはずだからである。
 算術級数の定理は単なる興味を超えた、基本的定理である。同じことが一次以上の多項式についていえるかは、まったく未知の問題である。たとえば
  n2+1 (nは自然数)
の形の素数が無数にあるかどうか、いまだにわかっていない。[足立恒雄]

素数分布

自然数xを超えない素数の個数をπ(x)で表す。たとえば
  π(2)=1,  π(10)=4,
  π(100)=25,π(1000)=168
である。アダマールとド・ラ・バレ・プーサンは1896年独立に素数定理、すなわち

が成り立つことを証明した。したがって大きなxについてはπ(x)はほぼx/logxに等しい。たとえばx=107のとき
  π(x)=664579,
  x/logx=620417
である。
 素数のように不規則に分布するものがx/logxという簡単な関数によって近似され、しかも、それが証明されるというのは驚くべきことであろう。初期の証明には関数論の深い結果が用いられたが、セルバーグによって関数論を用いない証明が得られている(1949)。[足立恒雄]

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世界大百科事典内の素数の言及

【整数論】より

r=0であるとき,abで整除される,または割り切れるといい,abの倍数,baの約数であるという。
[素数]
 1以外の正の整数pで,1と自分自身以外に正の約数をもたないものを素数という。2以外の素数は奇数なので奇素数という。…

※「素数」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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