ガザに盲いて
がざにめしいて
Eyeless in Gaza
イギリスの作家オルダス・ハクスリーの長編小説。1936年刊。自叙伝的要素の濃厚な小説で、題名はミルトンの詩劇『闘士サムソン』からとられた。主人公アントニー・ビーブスは11歳で母を失い、それによって人間の有限性を悟り、虚無的な青年に成長してゆく。しかし、「自覚とは自己変革への本質的準備である」と悟り、また人間、生物、いやいっさいの存在は多にして一であるという信念を抱くことによって、ニヒリズムと無関心を克服して平和運動に飛び込んでゆく。
[瀬尾 裕]
『本多顕彰訳『ガザに盲いて』全二巻(1961・新潮社)』
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
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世界大百科事典(旧版)内のガザに盲いての言及
【ハクスリー】より
…構成を音楽の形式になぞらえた知的風俗小説《[恋愛対位法]》(1928)を出版。社会的・政治的緊張の高まった30年代に入ると,テクノクラシーのもとでの管理社会を風刺した逆ユートピア小説《すばらしい新世界》(1932),恒久平和を目ざす倫理的・宗教的立場から傍観を批判する《ガザに盲(めし)いて》(1936),とらわれのない〈無執着〉の倫理を説く評論《目的と手段》(1937)を発表。第2次大戦直前,眼疾治療のためアメリカに移住した。…
※「ガザに盲いて」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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