天然ガスを埋蔵する貯留層。天然ガスはガス層を構成する砂岩や石灰岩などの間隙(かんげき)の中に存在している。ガス層は構造性ガス層と水溶性ガス層とに大別される。構造性ガス層は、油層と同様に石油根源岩より天然ガスが移動集積した地層である。ガス層中の天然ガスはメタンを主成分とし、エタンやプロパンなどの重い成分をも含む。重い成分を多量に含むガス層ではガス層開発が進み、ガス層圧力が減少すると、ガスから軽質液体炭化水素が分離してくる。このようなガス層をガス・コンデンセート層といい、液体を分離しないガス層と区別する。ガス層圧力の低下とともに液体の分離する現象を逆行凝縮といい、ガス層開発で考慮しなければならない要件である。現在、石油探査は深い地層へ移行しているが、油層よりガス層が多く発見される傾向にあり、今後ますますガス層の発見が期待される。アメリカでは従来開発の対象にならなかった深部のきわめて浸透性の小さいガス層が新しい技術で積極的に開発されている。
水溶性ガス層とは、メタンを溶解している塩水を埋蔵している地層をいう。日本の水溶性ガス層の塩水からはヨードが回収され、外国へも輸出されている。水溶性ガス層からガスを採収する際に多量の水が汲(く)み上げられ地盤沈下をおこすので、地表へ流出した水はふたたびガス層へ圧入される。アメリカのメキシコ湾岸にも大規模な高圧高温水溶性ガス層があり、開発技術を研究中である。
[田中正三]
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…原油とガスとが共存するのが常態である地層。これに対し,ガスだけが遊離して存在するのが常態である地層をガス層gas reservoirという。主要油層は地質時代的には第三紀と中生代に属するものが多い。…
※「ガス層」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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