エタン(読み)えたん(英語表記)ethane

翻訳|ethane

日本大百科全書(ニッポニカ) 「エタン」の意味・わかりやすい解説

エタン
えたん
ethane

鎖式飽和炭化水素の一つで、無色無臭気体

 天然ガスおよび原油蒸留によって得られるガス中に存在する。引火性、爆発性があるが化学反応性には乏しい。空気中での爆発限界は3.2~12.5容積%である。700~900℃で熱分解するとエチレンと水素を生成する。さらに高温ではアセチレンを生じる。エチレンの原料として石油化学製品の製造に用いられるほか、クロロエチレンなどのハロゲン化合物の製造や燃料としての用途がある。高濃度では麻酔作用がある。エタンの製造はエチレンやアセチレンを、触媒を用いて接触的水素化を行うか、ハロゲン化エチルを還元するが、純粋なエタンの用途は少ない。

[佐藤武雄・廣田 穰]


エタン(データノート)
えたんでーたのーと

エタン
  CH3CH3
 分子式 C2H6
 分子量 30.07
 融点  -183.6℃
 沸点  -89.0℃
 比重  0.694(測定温度-172℃)
 引火点 530℃

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「エタン」の意味・わかりやすい解説

エタン
ethane

化学式 CH3CH3 。石油分解ガスや湿性天然ガスに含まれる無色無臭の気体。他のメタン系炭化水素と同じように化学試薬に対して安定であるが,引火性,爆発性がある。沸点-89℃。 800℃では脱水素を起しエチレンとなり,1300℃ではさらに脱水素されアセチレンになる。燃料や石油化学におけるエチレンの製造原料である。

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