日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガチョウ番の娘」の意味・わかりやすい解説
ガチョウ番の娘
がちょうばんのむすめ
Gänsemagd
『グリム童話集』(第89番)の話。王女が遠くの王子へ嫁入りするとき、ファラダという馬に乗り、母から、指の血の3滴ついた小布をもらって、腰元を1人連れていく。途中の川で水を飲むとき、小布を水へ落としたため、王女は力を失い、腰元にファラダを奪われ、下女として王子の城につく。偽の花嫁は夫を唆してファラダを殺させる。下女姿の王女は皮はぎ人に頼んで馬の首を町の門に打ち付けてもらい、ガチョウを連れて通るたびに首と話をする。ガチョウ番の小僧からこれを聞いた父王は、下女姿の王女に、鉄のストーブの中で苦しみを告白させ、それを聞いて事情を知り、偽の嫁には、自分の悪業に自分で判決をいわせ、王子と正しい嫁を結婚させる。ヨーロッパにかなり広く分布する話で、グリム兄弟の重要な語り手、フィーマン夫人の語ったもの。
[小澤俊夫]