日本大百科全書(ニッポニカ) 「ガンディセ山脈」の意味・わかりやすい解説
ガンディセ山脈
がんでぃせさんみゃく / 岡底斯山
中国、チベット自治区南部にある山脈。チャンタン高原(蔵北(ぞうほく)高原)の南縁を限り、ガル河(インダス川上流)とヤルンズアンボ江の河谷の北側に弧状に連なる。東経80度から88度まで延長約800キロメートル。6000メートル以上の高山が多く、東はニェンチェンタンラ山脈に続く。かつてスウェーデンの探検家スウェン・ヘディンによりトランス・ヒマラヤ山脈と命名された。主峰ガンディセ山(6714メートル)はチベット語でカンリンポチェ峰とよばれ、「雪の宝物」の意味をもち、インドではサンスクリット語のカイラス山の名で知られている。氷雪をまとい群山を圧してそびえる円錐(えんすい)形の山頂は遠くから望見でき、ヒンドゥー教と仏教では宇宙の中心を占める聖山と考えられている。インドからカリ川渓谷をさかのぼり、リプレク峠でヒマラヤを越える巡礼路があり、信仰厚い巡礼者はこの山を匍匐(ほふく)しながら一周する。
[酒井敏明]