日本大百科全書(ニッポニカ) 「キタイカナゴ」の意味・わかりやすい解説
キタイカナゴ
きたいかなご / 北玉筋魚
Pacific sand lance
[学] Ammodytes hexapterus
硬骨魚綱スズキ目イカナゴ科に属する海水魚。北海道から太平洋北部、ベーリング海、オホーツク海に広く分布する。体は細長く、体長は体高の約9倍で、頭長の4.5倍。腹びれがない。全長30センチメートルぐらいになる。沿岸の砂底にいて、おもに橈脚類(とうきゃくるい)(カイアシ類)、オキアミ類などの動物プランクトンを食べる。一方、本種はサケ・マス類、オヒョウ、アザラシなどのよい餌(えさ)となる。産卵期は12~1月、群れで一度に放卵と放精をする。1年で14センチメートル、3年で19センチメートル、6年で23センチメートルになり、3年で成熟する。棒受網、定置網、底引網などで漁獲される。煮干し、シラス干し、佃煮(つくだに)にするほか、養殖魚の飼料などにする。イカナゴA. personatusに似ているが、イカナゴより背びれの条数が多く58~63本(イカナゴは54~59本)、脊椎骨(せきついこつ)数も68~72個(イカナゴは67個以下)と多いことなどで識別できる。
[落合 明・尼岡邦夫]