カイアシ類(読み)カイアシるい(その他表記)copepod

翻訳|copepod

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「カイアシ類」の意味・わかりやすい解説

カイアシ類
カイアシるい
copepod

顎脚綱カイアシ亜綱 Copepodaとしてまとめられる小型甲殻類の総称。橈脚亜綱(ぎょうきゃくあこう,じょうきゃくあこう,とうきゃくあこう)の名もある。研究者の間ではコペポーダと呼ばれている。一般に体長 1~4mm。海産のプランクトンとして出現するものが多く,表層から深海までにわたる。生息海域から外洋性と沿岸性に,深度から表層性,中層性,深層性とに分けられるが,明るい光を避けて昼夜垂直移動を行なう。淡水産種,汽水産種もあり,また寄生生活により変形の著しいものもある。基本的な体制は,頭部と第1胸節の癒合した前体と,雌では 4節,雄では 5節の後体からなる。後体の末節に続いて長い叉肢が分岐している。付属肢分化は顕著でないが,第1触角が長く,運動を助けるほか,交尾の際の把握器官となることもある。微細なプランクトンを第2顎脚の毛でろ過して集め,水流によって口に運ぶ。カイアシ亜綱はカラヌス目 Calanoida,キクロプス目 Cyclopoidaなど 11目に分類される。世界に 8000種以上,そのうち日本産は約 500種といわれ,多くのものは暖流寒流など水域の指標種となっている。(→顎脚類節足動物

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のカイアシ類の言及

【橈脚類】より

…橈脚亜綱Copepodaに属する甲殻類の総称。コペポーダまたは胸節にある5対の遊泳脚を,ボートをこぐ橈(かい)(オール)のように動かして泳ぐのでカイアシ類とも呼ばれる。海洋および陸水のプランクトンに多数出現し,主要な部分を占め,魚類などの重要な天然飼料となる。…

※「カイアシ類」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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