キタユムシ
Echiurus echiurus
キタユムシ科のユムシ動物。北海道の厚岸以北のオホーツク海,北アメリカ北東岸,アイスランド海域に分布する。体長10cm,体幅2.5cm内外,灰白~黄灰色であるが,大型のものは紅色を帯びている。体表には小さい皮膚乳頭がほぼ輪状に並んでいる。頭端からは長さ2cmほどのへら状の吻(ふん)がで,その下方に開く口の後方に1対の腹剛毛がある。また,体後端にある肛門をとり巻いて,外側に11本,内側に8本の尾剛毛が並んでいる。砂泥中に小さいU字形の管を掘ってすむ。北方海域にすむコガネガレイやツノガレイの胃の中から,この種類がほぼ完全な形ででてくることがある。また,これらの個体が大きいこともあって底生性の魚類の重要な天然餌料になっているものと思われる。
執筆者:今島 実
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
キタユムシ
きたゆむし / 北螠
[学] Echiurus echiurus
環形動物門ユムシ綱有血管目キタユムシ科に属する海産動物。厚岸(あっけし)以北の北海道、千島列島、オホーツク海、アリューシャン列島、北アメリカ東北岸、アイスランドなど北方海域に広く分布する。体は長さ10センチメートル、幅2.5センチメートル内外で、灰白色ないし黄灰色、大形のものは紅色を帯びる。へら状で長さ約2センチメートルほどの吻(ふん)が頭端にある。体表には小さい皮膚乳頭がほぼ輪状に並び、口の後方の腹側に1対の腹剛毛が、そして体後端の肛門(こうもん)を取り巻いて外側に11本、内側に8本の尾剛毛が並んでいる。砂泥中に小さいU字状の管を掘ってすむ。カレイやマダラ釣りの餌(えさ)に利用される。
[今島 実]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
世界大百科事典(旧版)内のキタユムシの言及
【ユムシ(螠)】より
… 世界で約150種が知られている。底魚類の好む餌になっていて,カムチャツカ半島沖のコガネガレイやツノガレイの胃の中から体長8cm,体幅2cmほどの[キタユムシ]Echiurus echiurusがほとんどそのままの形で多毛類などとともにでてきている。 ユムシUrechis unicinctusは体長10~30cmの円筒状で赤みがかった乳白色をしている。…
【ユムシ(螠)】より
… 世界で約150種が知られている。底魚類の好む餌になっていて,カムチャツカ半島沖のコガネガレイやツノガレイの胃の中から体長8cm,体幅2cmほどの[キタユムシ]Echiurus echiurusがほとんどそのままの形で多毛類などとともにでてきている。 ユムシUrechis unicinctusは体長10~30cmの円筒状で赤みがかった乳白色をしている。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」