日本大百科全書(ニッポニカ) 「キチョウジ」の意味・わかりやすい解説
キチョウジ
きちょうじ / 黄丁字
[学] Cestrum aurantiacum Lindl.
ナス科(APG分類:ナス科)の低木で、グアテマラ原産。茎は他によりかかって伸長し、6メートルくらいに育つ。葉は先のとがった卵形で互生する。花は橙黄(とうこう)色で、長さ2.5センチメートルの細い筒状となり、先端は浅く5裂し反曲する。茎頂または上部葉腋(ようえき)に総状花序をなす。夏から秋に開花し、芳香がある。セストルム属は熱帯ないし亜熱帯アメリカに約150種分布する。ヤコウカ(夜香花)C. nocturnum L.は西インド諸島の原産で、3~4メートルの低木。若い枝は緑色で成長が早い。花は淡黄白緑色の細い筒状で、夜間は強い芳香があり、一般にヤコウボク(夜香木)とよばれる。一年中成長と開花を繰り返す。刈り込めば鉢作りもできる。ベニチョウジC. elegans Schlechtd.はメキシコ原産で、紅紫色の筒状花を茎頂に群生する。明治末年に渡来した。この仲間は寒さに強く、5℃以上で越冬する。挿木で殖やす。カイガラムシが発生しやすい。
[高林成年 2021年6月21日]