キュプリアヌス(その他表記)Cyprianus, Caecilius

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「キュプリアヌス」の意味・わかりやすい解説

キュプリアヌス
Cyprianus, Caecilius

[生]200頃.カルタゴ
[没]258.9.14. カルタゴ
カルタゴの司教聖人,教父。別名 Thascius。著名な修辞学者であったがケキリアヌスに導かれてキリスト教改宗 (246頃) ,のちカルタゴの司教となった (248/9) 。ローマ皇帝デキウス,ウァレリアヌスらの迫害のなかで信徒励まし,信仰擁護のために戦い,ローマ教会の統一と組織強化に努めたがついに殉教した。神学的にはテルトゥリアヌスの影響を受けた。神を父,教会を母とする思想は彼に由来し,教会史における影響は大きい。おもな論文として『カトリック教会統一論』があり,書簡も特に重要で「教会の外に救いはない」「教会を母としてもたないものは神を父としてもつことができない」「教会は司教において存在する」などの言葉を残した。また彼はローマ教会を全カトリック教会の根源とみなしたが,異端者や離教者による洗礼の有効性を否定し,その有効性を擁護した教皇ステファヌス1世と対立した。祝日は9月 16日。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android