日本大百科全書(ニッポニカ) 「キュヘリベーケル」の意味・わかりやすい解説
キュヘリベーケル
きゅへりべーける
Вильгельм Карлович Кюхельбекер/Vil'gel'm Karlovich Kyuhel'beker
(1797―1846)
ロシアの詩人。帰化したドイツ系貴族の出。貴族学校(リツェイ)に学び、プーシキンを知り、早熟な文才を示した。1825年デカブリストの乱に加わり、死刑を宣告されたがシベリア流刑に減刑された。10年の獄中生活を経て、家庭をもち、結核で死ぬまでシベリア暮らしであった。詩人としては、カラムジン派から出発し、ドイツ・ロマン派の影響が色濃いが、しだいにデルジャービン流の頌詩(しょうし)や悲劇に筆を染め「古典主義のロマン派」を自称した。20世紀初頭、優れた批評・文芸理論を含む作品の大半をティニャーノフが発掘するまで、忘れられた存在であった。
[島田 陽]