改訂新版 世界大百科事典 「キルトスペルマ」の意味・わかりやすい解説
キルトスペルマ
swamp taro
Cyrtosperma
東マレーシアから南太平洋の島々で,湿地に栽培されるサトイモ科の植物。いわゆるタロイモの仲間。約10種ほどある。
地下に肥大した根茎を有する大型の植物で,時には高さ3m以上になる葉柄を有し,葉身は矛形になる。葉柄にはとげがあるものが多い。花は雌雄同花で,4~6枚の花被片と4~6本のおしべを有していて,太い棍棒状の肉穂花序に密集してつく。この花序をつつむ仏炎包は長楕円形ボート形で,通常紫茶色を帯びる。種子は大きく,中に曲がった胚をいれる。
食用に栽培されているものには,南太平洋のC.edule Schottやフィリピン群島から報告のあるC.merkusii(Hassk.)Schottがあるが,これらは同一種,C.chamissonis(Schott)Merr.と考えられる。キルトスペルマ類は,現在ではごく限られた地方の作物でしかない。
執筆者:堀田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報