改訂新版 世界大百科事典 「キンセイチョウ」の意味・わかりやすい解説
キンセイチョウ (錦静鳥)
black-throated finch
Poephila circta
スズメ目カエデチョウ科の鳥。スズメより小さく,全長約10cm。雌雄同色。頭が灰白色で,くちばし,のど,尾が真っ黒いのが特徴。眼先,腰,下腹部のわきも黒い。背は灰褐色。オーストラリア北東部の草の多い疎林や灌木林にすみ,海岸地方や川べりのやぶの多いところを好む。人嫌いな鳥で,人里近くにはすまない。主食は草の種子であるが,繁殖期には多量の昆虫類をとる。1夫1妻で繁殖し,低木の茂みの中に天井のついた袋状の巣をつくる。ときには樹洞とかシロアリの塚の穴やタカ類の巣の下などにも営巣することもある。1腹5~9卵を産む。非繁殖期には群れでくらしている。性質はおとなしく,動作が静かで,色彩も落ちついており,飼鳥として好まれる。ヒエとアワを半々くらいに混ぜて飼う。この種によく似ていて尾が長く先のとがったものはオナガキンセイチョウP.acuticaudaで,オーストラリア北部に分布する。同じく飼鳥として日本にもときどき輸入される。
執筆者:中村 登流
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報