クォーク・グルーオンプラズマ(その他表記)quark-gluon plasma; QGP

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 の解説

クォーク・グルーオンプラズマ
quark-gluon plasma; QGP

超高温あるいは超高密度のなかで,クォークグルーオンがとると考えられているプラズマ状態(→プラズマ)。陽子π中間子などのハドロンは,3体のクォーク,またはクォークと反クォーク対の複合粒子だが,それらはグルーオンによって結びつき,単独では出てこない(クォークの閉じ込め)。しかし,超高温や超高密度のなかでは相転移が起こって閉じ込めは破れ,クォークやグルーオンの集団はハドロンとはならず,自由に動き回るプラズマ状態になると予想される。初期の宇宙,特にビッグバン初期はこのような状態であったと考えられている(→ビッグバン説)。また今日においても,大きな原子核を高エネルギーで正面衝突させると,合体したものは一時的にクォーク・グルーオンプラズマとなり,その状態に特有の現象がみられる可能性がある。大型ハドロン衝突型加速器 LHCにおける重イオンの衝突実験でその検証が進められ,重いクォークの生成など,クォーク・グルーオンプラズマに特徴的とみられる現象が観測されている。

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知恵蔵 の解説

クオーク・グルーオン・プラズマ

分かち難く結ばれたクオークを、間に働く強い力の担い手グルーオンとともにばらしたもの。クオーク同士は離れるほど強く引き合う(強い力の漸近的自由性)ので、集まって陽子や中性子などをつくるが、宇宙誕生直後は熱運動でばらばらだったらしい。2000年以来、この状態を再現したらしいとの実験報告が相次ぐ。

(尾関章 朝日新聞記者 / 2007年)

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