ビッグバン説
ビッグバンせつ
big-bang theory
宇宙の進化をめぐって広く受入れられている理論。きわめて高温・高密度の状態から宇宙が誕生した。これをビッグバン (大爆発) といい,100億年以上前のこととされる。同様な宇宙起源説は 1920年代にロシアの数学者 A.フリードマンやベルギーの天文学者 G.ルメートルも提案していたが,現代のビッグバン理論は 40年代に G.ガモフとその同僚が考案した。ビッグバン説は2つの前提から成る。第1の前提は,あらゆる物質の重力相互作用は,A.アインシュタインの一般相対性理論によって正しく記述できるということである。第2の前提は宇宙原理と呼ばれる。これによると宇宙の姿は,観測者がどの場所からどの方角に眺めても同じである。この原理は宇宙の全体的な属性にのみ適用されるが,宇宙にははてがないということ,ひいてはビッグバンが宇宙の特定の場所で始ったのではなく,宇宙全体で同時に起ったことを意味している。以上の2つの前提により,いわゆる「プランク時間」 (宇宙誕生から 10のマイナス 44乗秒後。それ以前は空間も時間も存在しなかったといわれる) 以降の宇宙の歴史を算定できるようになった。プランク時間以前については,科学者たちにもその実態はわかっていない。
ビッグバン説によれば,宇宙は極度に凝縮された原初の状態から急激に膨張し,その結果,密度と温度が大幅に低下したとされる。その直後,おそらく陽子崩壊を伴うプロセスにより,今日観察されるような物質の反物質 (反粒子から成る仮想の物質) に対する優位が確定した。この段階で,各種の素粒子が出現したと考えられる。その数秒後,宇宙の冷却が進んである種の原子核が形成された。それに従えば,一定量の水素,ヘリウム,リチウムが生れたとされる。それから約 100万年後,宇宙の冷却がさらに進んで原子が形成された。やはり宇宙に充満していた放射も,このときから宇宙を自由に飛び回るようになった。こうした初期宇宙の姿は,65年に A.ペンジャスと R.ウィルソンが発見したマイクロ波宇宙背景放射 (3K背景放射ともいう) に,その名残りをとどめている。ビッグバン説は一般物質と宇宙放射の存在を説明するだけでなく,現在の宇宙にはニュートリノが充満していることも予言している。今後,初期宇宙の痕跡がさらに発見されるかもしれない。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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ビッグバンせつ
ビッグバン説
big-bang theory
宇宙は大爆発(ビッグバン)で始まり,初期の超高温・超高密度の火の玉状態から膨張が続いているという説。一般相対論によれば,ビッグバンは時空の始まりであり,空間自体の膨張・時間経過が有限であることを意味する。1946年ころ,G.Gamowが宇宙における元素の起原をめぐって提唱した宇宙進化論が理論的動機となっている。観測的には,宇宙は一様に膨張しており,遠い天体ほど速く遠ざかるというハッブルの法則の発見(1929),火の玉の残骸と考えられる等方的な3K宇宙背景放射の発見(1965)がこの説を支持している。92年,人工衛星COBEにより10万分の3Kの空間的な温度ゆらぎが発見されたが,現在の宇宙の構造は,このゆらぎが重力で増幅された結果と考えられる。ビッグバン説によれば,宇宙開闢びやく後3分くらいまでに水素やヘリウムの核ができ,10万年後に宇宙は4,000Kまで冷却して水素原子が形成され,それまで物質と混然となっていた光が自由に宇宙を駆けめぐる「宇宙の晴上がり」が起こったとされる。
執筆者:黒田 武彦
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報
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