クヌム(その他表記)Khnum

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「クヌム」の意味・わかりやすい解説

クヌム
Khnum

古代エジプトの宇宙神。カタラクト (瀑布地帯) の神でナイル川を象徴し,多産創造の神とされる。南エジプトで信仰され,主聖所は象牙の島にあり,妻サティとアヌーキスとともに祀られた。第3王朝のジョルは水害を避けるために,クヌムに第1カタラクト地方を献じたという。また第 20王朝ラムセス3世は,クヌムに祭典料を献じた。角を生やした雄羊の頭をもつ男として表現される。ヌビアのドゥードゥーン神はクヌムと一体化するにいたっている。

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世界大百科事典(旧版)内のクヌムの言及

【卵】より

…またギリシアのオルフェウス教による神話は,上天の神アイテルAithērがクロノスないしカオスと交わって巨大な銀色の卵をつくり,そこから最初の両性具有神プロトゴノスPrōtogonos(〈最初に生まれた者〉)あるいはファネスPhanēs(〈光明〉)が生まれたと説く。さらにエジプト神話では,ナイル川のガチョウが産んだ黄金の卵から太陽神ラーが誕生し,創造神クヌムKhnumも口から卵を吐きだしこれを言語の源としたと語られている。同様にヒンドゥー神話にも黄金の卵から創造神ブラフマー(梵天)が生まれ,二つに割れた殻が天と地に変じたという話がある。…

【肉】より

…ユダヤ伝説では神が土の塵(ちり)(ヘブライ語で〈アダーマー〉)からアダムと彼の最初の妻リリト(リリス)をつくった。ギリシア神話ではプロメテウスが粘土から人間をつくり,エジプトの造物神クヌムも粘土から人間をつくっている。バビロニアではベール(バアル)神の首からほとばしる血と土を混ぜ合わせて人がつくられているし,オーストラリア,ニュージーランド,タヒチ,ペルー,アフリカその他においても,粘土や赤土から人間がつくられたとする伝承がある(J.G.フレーザー《旧約聖書のフォークロア》)。…

※「クヌム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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