改訂新版 世界大百科事典 「クラゲノミ」の意味・わかりやすい解説
クラゲノミ
海洋で純浮遊生活を送る端脚目クラゲノミ亜目Hyperiideaに属する小型甲殻類の総称,またはクラゲノミ科の1種を指す。クラゲノミ類は,一般に眼が大きく,頭部の大部分を占めている。浮遊生活に適応して体前部が著しく大きい。ふつう体長1~10mm前後。回遊魚の天然の餌として重要。19科約320種が知られている。クラゲノミHyperia galbaは体長2.5~13mm。体は透明,淡褐色を帯び,淡赤色の斑点がある。赤色の眼は頭部のほとんどを占める。ミズクラゲ,オキクラゲやユウレイクラゲなどに寄生,食物の分け前にあずかるが,ときに宿主の生殖巣などを食害することもある。日本近海に広く分布し,外洋水の影響がある内湾にも見られる。近似種のオオタルマワシPhronima sedentariaはタルマワシ科に属し,浮遊性原索動物のウミタル,サルパの被囊内,ヒカリボヤの総排出腔内に侵入,寄生し,宿主の体の一部を食害し,みずからの住居に仕立て,その中で幼生を育てる習性がある。日本の中部以南の太平洋に分布。
執筆者:蒲生 重男
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報