改訂新版 世界大百科事典 「クルペオ」の意味・わかりやすい解説
クルペオ
culpeo
Andean wolf
Dusicyon culpaeus
小型のコヨーテに似ているが尾がさらに大きい食肉目イヌ科の哺乳類。エクアドル,ペルーからアンデス山脈に沿い南アメリカの南端までと,フエゴ島の山地の低木林,荒れ地,半砂漠などにすむ。体長52~120cm,尾長36~50cm,体重4~13kg。イヌ属とキツネ属の中間のもので,尾がキツネに似て太く長いためクルペオキツネculpeo foxとも呼ばれる。しかし,南アメリカではタテガミオオカミに次ぐ大型種で,キツネよりはるかに大きく体型も異なり,吻(ふん)が長く耳介が大きく,コヨーテやジャッカルに似る。体毛は長く,背面と尾は淡黄褐色と黒色の毛が混じった霜降りの灰褐色,頭,耳介の後面,側腹,四肢は赤褐色,下あご,ほおおよび腹は淡黄色で赤褐色の部分との境界が鮮明である。尾端は黒色。おもに夜出歩き,齧歯(げつし)類,鳥,トカゲなどを捕食するが,アルゼンチンなどでは放牧のヒツジを殺すため不当に憎まれ,野生化したイエウサギを大量に捕食するにもかかわらず害獣として駆除されている。大きな岩の間,やぶの中などに巣穴をつくり,10~12月に平均5子を生む。妊娠期間は約2ヵ月。
執筆者:今泉 吉典
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報