日本大百科全書(ニッポニカ) 「グウィン」の意味・わかりやすい解説
グウィン
ぐうぃん
Anthony Keith Gwynn
(1960―2014)
アメリカのプロ野球選手(左投左打)。大リーグ(メジャー・リーグ)のサンディエゴ・パドレスで外野手としてプレー。首位打者を8回も獲得した好打者である。
5月9日、カリフォルニア州ロサンゼルスで生まれる。サン・ディエゴ州立大から1981年、ドラフト3巡目指名を受けてパドレスに入団。最初に送り込まれたマイナー・リーグのA級で首位打者となり、バッティング技術の高さを見せつけると、2年目の1982年には大リーグ昇格を果たした。翌1983年はAAA級で開幕を迎えたがすぐに大リーグへ引き上げられ、1984年からはレギュラーの座を確保した。同年、打率3割5分1厘で初の首位打者となり、リーグ優勝にも貢献した。1986年と1987年はゴールドグラブ賞を受賞し、1987年から3年連続して首位打者を獲得。なお、1988年の打率3割1分3厘はナショナル・リーグの首位打者史上、最低の数字であった。1989年から1991年まで、ゴールドグラブ賞に選ばれた。ストライキでシーズンが打ち切りになり、試合数が少なかったとはいえ、1994年に打率3割9分4厘の高打率で首位打者となり、1997年まで4年連続で同タイトルを獲得。なかでも、1996年は故障がちで116試合しか出場できなかったため規定打席に到達しなかったが、認定首位打者となった。これは、不足分の打席全てで凡打しても、首位だったコロラド・ロッキーズのエリス・バークスEllis Rena Burks(1964― )の打率を上回るためであったが、この規定が適用されたのは史上初めてのことであった。1998年には、自身2回目のワールド・シリーズに出場、ヤンキースの前に1勝もできず、敗退した。その後、2001年を最後に引退。初昇格の1982年を除いて、最後のシーズンまで打率3割以上をマークした。
20年間の通算成績は、出場試合2440、安打3141、打率3割3分8厘、本塁打135、打点1138。獲得したおもなタイトルは、首位打者8回、最多安打7回、ゴールドグラブ5回。2007年に野球殿堂入り。
[山下 健]