日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケニアリー」の意味・わかりやすい解説
ケニアリー
けにありー
Thomas Keneally
(1935― )
オーストラリアの小説家。シドニー生まれ。セント・パトリック大学で聖職と法律を専攻。処女作『ホイットンにて』(1964)、『恐怖』(1965)は少年期の幻想を描いたが、第三作の流刑兵士を主人公とした叙事詩的長編『雲雀(ひばり)と勇士を招け』(1967)、『聖霊に万歳三唱』(1968)の2作はマイルズ・フランクリン賞を、続く『生存者』(1969)ではクック提督200年記念賞受賞。その後『従順な娘』(1971)、さらに『ジミー・ブラックスミスの歌』(1972)はクック提督200年記念賞ならびに王立協会文学賞を受けた。80年代は、若い知性派の代表作家と目されるに至った。以来『シンドラーのリスト』(1983)など、だいたい年1作は話題作を発表している。戯曲にも興味を示し、1984年には『メレキ(調停人)』などを発表。テレビ、ビデオ時代の到来で、映画、テレビ対応に改作も試みている。最近はロンドン居住が多い。
[平松幹夫・古宇田敦子]