ケニア大統領選(読み)けにあだいとうりょうせん

知恵蔵 「ケニア大統領選」の解説

ケニア大統領選

東アフリカのケニアでは、2007年12月末に実施された大統領選をきっかけに、現職のムワイ・キバキ大統領を支持する勢力と、最大野党を率いるライラ・オディンガ氏の支持者による武力衝突が発生、1000人ともいわれる死者が出る事態になった。選挙管理委員会は、キバキ氏が、開票途中までリードしていたオディンガ氏を破って再選を果たしたとする開票結果を発表。しかし、オディンガ氏の支持者は与党が不正を働いたと主張し、結果に強く反発。両派の衝突は激化し、アナン前国連事務総長らが08年1月下旬にケニア入りして、話し合いによる解決を促した。キバキ氏とオディンガ氏はともに会談には応じたが、連立政権発足に向けた協議は難航。その間に野党の国会議員が銃殺される事件なども起きて、混乱は泥沼化した。 与党支持者の多くは、キバキ氏と同じキクユ族の出身者が多く、野党側はオディンガ氏と同じルオ族の出身者が中心。1963年の独立以来、政権中枢を握ってきたキクユ族に対し、ルオ族は権力をつかめずに来た。民族間にわだかまっていた対立意識が、接戦の末にルオ族の候補が敗れた大統領選をきっかけに爆発したという側面もある。

(望月洋嗣 朝日新聞記者 / 2008年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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