ケハダヒザラガイ(その他表記)Acanthochiton defilippii

改訂新版 世界大百科事典 「ケハダヒザラガイ」の意味・わかりやすい解説

ケハダヒザラガイ (毛膚石鼈貝)
Acanthochiton defilippii

背面刺毛の束が並ぶ多板綱ケハダヒザラガイ科の軟体動物。体は楕円形で,長さ4.8cm,幅3.7cm,背面の膨らみは弱く,背面中央にはやや小さい貝殻が8枚前後に重なりあって並んでいる。中間の6枚の殻は黒みがあり,前方が狭くなり三角形状になっており淡黄色の1対の縞が前後に連なっている。肉帯という他の部分は黒みがかり,小さいとげが全面に密に生えているが,殻の左右に平行して鋭いとげの束が9個ずつ前後に並んでいる。下面には淡黄色の大きい足と,それに沿って溝があり,その中に42内外のえらが並ぶ。本州から九州,さらにそれ以南の西太平洋の潮間帯付近の岩礁に付着している。磯汁などにして食べる地方がある。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケハダヒザラガイ」の意味・わかりやすい解説

ケハダヒザラガイ
けはだひざらがい / 毛膚石鼈貝
Defilipp's spiny chiton
[学] Acanthochiton defilippi

軟体動物門多板綱ケハダヒザラガイ科のヒザラガイ。仙台湾以南の日本各地から、西太平洋一帯の岩礁潮間帯の岩礫(がんれき)地にすむ。体長48ミリメートルぐらいのやや大形種で、殻板は小さく、肉帯の上に9対の棘(とげ)の束列がある。

[奥谷喬司]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ケハダヒザラガイ」の意味・わかりやすい解説

ケハダヒザラガイ
Acanthochiton defilippi; spiny chiton

軟体動物門多板綱ケハダヒザラガイ科。体長 4.8cm,体幅 3.7cm,体高 1.1cm。体は小判形で,8枚の小さな殻が背正中線上に前後に接して並ぶ。これを取巻く肉帯は広く,黄褐色の地に褐色の雲紋があり,全面に微細なとげを密生する。また殻を囲んで9対の暗褐色の棘束がある。腹面は平らで広い足があり,外套腔に左右各約 42枚の鰓が並ぶ。宮城県以南,西太平洋の潮間帯岩磯にすむ。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android