ケペリ(読み)けぺり(その他表記)Khepery

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ケペリ」の意味・わかりやすい解説

ケペリ
けぺり
Khepery

古代エジプト語prr。「生成するもの」を意味し、地平線上に昇ってからしばらくの間の太陽、つまり若い太陽神をさす。ケペリ(ヘペリ)はしばしばスカラベ甲虫類クソムシの意。和名タマオシコガネムシ)によって表されたが、それはこの虫の名がこの神と同音であるとともに、この虫が地上で転がす糞を太陽と見立てて、スカラベと太陽の運行原動力としてのケペリを同一視したためと考えられる。のちにスカラベは、死者のための護符として用いられるようになり、『死者の書』の一部などを彫り込んだ石製、焼物製などのスカラベが無数につくられた。

矢島文夫

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のケペリの言及

【スカラベ】より

…【奥本 大三郎】
[シンボル]
 スカラベは古代エジプト語ではケペレルkhepererと呼ばれたが,その生態によって,日輪に見たてられた糞球から自生すると考えられた。また〈生成〉〈創造〉〈再生〉を意味する語のケペルkheperと音が類似しているため,この虫の形が〈みずから生まれ出るもの〉〈天に昇る若い太陽〉とされたケペリKheperi神をも表すようになり,スカラベは創造と復活のシンボルとして神聖視された。そしてスカラベの意匠は古代エジプトでは印章,護符,装身具などに用いられた。…

※「ケペリ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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