クソムシ

改訂新版 世界大百科事典 「クソムシ」の意味・わかりやすい解説

クソムシ (糞虫)

甲虫目コガネムシ科,センチコガネ科,コブスジコガネ科の昆虫には動物の糞や死体に集まるものが少なくない。これらの甲虫を総称してクソムシ,またはフンチュウと呼ぶ。このうちコガネムシ科に属するタマオシコガネ類,ダイコクコガネ類,エンマコガネ類,マグソコガネ類などは,その代表的なものといえよう。タマオシコガネ類は糞をころがして糞球をつくり,地下に運びこんでそれに産卵する。ダイコクコガネ類は地下に穴を掘り,糞を運びこみ糞球をつくってそれに産卵する。カドマルエンマコガネなどエンマコガネ類は糞のすぐ下に室屋をつくり,その中に糞を詰めこんで産卵するものが多い。マグソコガネ類の多くは直接糞に卵を産みつけるが,オオマグソコガネオオフタホシマグソコガネなどは糞の下に穴を掘り産卵する。成虫はいずれも前脚の脛節けいせつ)が幅広く,外縁に歯を並べ穴掘りに適した形態となっている。幼虫は3対の胸脚を有し,頭部を除いて体は白色でC形に曲がり,エンマコガネ類では背面に瘤を有する。幼虫期間は一般に短く初夏のころ孵化(ふか)した幼虫は夏から秋に成虫となる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「クソムシ」の意味・わかりやすい解説

クソムシ
くそむし / 糞虫

昆虫綱甲虫目に属する昆虫で動物の糞(ふん)に集まるもの、とくにコガネムシ科の食糞類に属する一群にコブスジコガネ科とセンチコガネ科を加えたものをいう。フンチュウともよばれる。コガネムシ科にはダイコクコガネ亜科のナンバンダイコク属、ダイコクコガネ属、オオタマオシコガネ属(スカラベ)など大形の種類をはじめ、エンマコガネ属、マグソコガネ亜科にも多数の種を含み、地上の汚物の清掃者として重要な役目を果たしてきた。現在でも北アメリカ、オーストラリアの牧場では糞処理のために適当な種類の導入を行っている。これらの種は糞球をつくって運び地中の穴に収容し、球形ないし洋ナシ形の糞球や糞塊に産卵する習性がある。

 コガネムシ類以外ではハバビロガムシやマグソガムシなどガムシ類、エンマムシ類、シデムシ類、サビハネカクシやコガシラハネカクシなどのハネカクシ類が糞に集まることが知られているが、これらはかならずしも糞を食べるのではなく、糞に発生するウジやほかの昆虫を捕食するものもある。

[中根猛彦]

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