改訂新版 世界大百科事典 「ゲンティリス」の意味・わかりやすい解説
ゲンティリス
Albericus Gentilis
生没年:1552-1608
国際法学者。北イタリアに生まれ,弁護士となったが,プロテスタントのため,カトリックからの迫害を逃れてイギリスに亡命。のちにオックスフォード大学のローマ法教授となる。主著《戦争法論De jure belli》(1598)は,それまで神学の課題として説かれてきた正当戦争論を純粋に法学の課題として取り上げ,文献や歴史的事実に基づき,帰納的に論証した点が大きな特徴とされる。〈国際法の父〉といわれるオランダのグロティウスの主著《戦争と平和の法》は,本書の焼直しにすぎず,したがってゲンティリスこそ真の〈国際法の父〉であると主張する者が,イタリアにはとくに多い。《外交使節論》《スペイン弁護論》も有名。
執筆者:波多野 里望
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報