日本大百科全書(ニッポニカ) 「ゲンベシュ」の意味・わかりやすい解説
ゲンベシュ
げんべしゅ
Gömbös Gyula
(1886―1936)
ハンガリーの軍人、ファシスト政治家。1919年の革命・反革命の時代にハンガリー全国防衛連盟議長につき、軍人から政治家への一歩を踏み出す。ホルティの下で白色テロを指揮。その後一時ベトレン内閣とたもとを分かち、人種主義的なハンガリー民族独立党を結成。しかし、28年には統一党に復帰し、ベトレンおよびカーロイ内閣の国防相を務めた。深まる政治危機のなかで32年に大地主と軍部の支持を得て首相に就任。親独・親伊を外交基調とし、国内的にもさまざまなデマゴギーでファシスト体制樹立を目ざした。34年にイタリア、オーストリアとローマ議定書に調印。35年選挙でベトレン派を抑え込むが、翌年腎臓(じんぞう)病で死亡した。
[家田 修]