ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベトレン」の意味・わかりやすい解説
ベトレン
Bethlen Gábor
[没]1629.11.15. トランシルバニア,ジューラフェヘールバール
トランシルバニア侯 (在位 1613~29) 。北ハンガリーのプロテスタント小貴族の出身。バートリ・ガーボルと対立して一時オスマン帝国に亡命,オスマン帝国のうしろだてで,1613年侯位についた。それまでの内政の混乱をよく是正し,産業貿易の振興に努め,学芸を保護し,宗教的自由を公認した。三十年戦争が勃発 (18) すると北ハンガリーに兵を進めてこれを併合し,20年ハンガリー王に推挙されたが,オスマン帝国の反対とカトリック貴族の反発を考慮して辞退。以後ボヘミアのフス派の新教徒,ドイツのプロテスタント諸侯と連合して,ハプスブルク家の神聖ローマ皇帝フェルディナント2世と対立,戦争と休戦を繰返した。
ベトレン
Bethlen István
[没]1946.10.5. モスクワ
ハンガリーの政治家。大貴族の出身 (伯爵) 。 1901年自由主義者として国会議員に選出された。 19年ベーラ・クンのソビエト共和国に反対,21~31年首相として封建的特権の保存,農地改革の停止,農村での公開投票,選挙権の制限など保守的な政策を実施した。外交政策においては,国際連盟加盟の交渉,トリアノン条約の改訂,小協商の打破に努めた。首相就任中,国内平和と再建をほとんど達成したが,世界恐慌で辞職。第2次世界大戦後,ソ連軍によって逮捕され,獄死。
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