改訂新版 世界大百科事典 「コケシロアリモドキ」の意味・わかりやすい解説
コケシロアリモドキ (苔擬白蟻)
Oligotoma japonica
シロアリモドキ目シロアリモドキ科の昆虫。雄には有翅と無翅の個体があり,体長6.5~9mm。雌はすべて無翅でやや大きい。全体褐色~黒褐色で細長く,シロアリ類に似る。頭部は扁平で円形,触角は糸状で細く17節からなる。前胸背は幅狭く,中・後胸は楕円形である。翅は薄く褐色を帯び不透明。腹部は細長く先端に2本の短い尾毛がある。あしは短く跗節(ふせつ)は3節。前肢の第1跗節は膨れ,ここに紡績腺が発達し,絹状物質を分泌する。成虫も若虫もタブやクスノキなどの樹幹の樹皮の割れ目にクモの巣状の糸で長い筒状のトンネルをつくり,その中で生活する。卵は白色で長径1.1mm,短径0.5mmで一端に若虫の出るふたがある。若虫は漸変態で成虫と若虫ではあまり著しい体制上の違いがない。日本特産種で,南九州と四国から記録される。シロアリモドキ目は熱帯やオーストラリアに種類が多い。
執筆者:長谷川 仁
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報