日本大百科全書(ニッポニカ) 「コケノコギリ」の意味・わかりやすい解説
コケノコギリ
こけのこぎり / 苔鋸
Mozambique large-eye bream
[学] Wattsia mossambica
硬骨魚綱スズキ目フエフキダイ科に属する海水魚。南西諸島、台湾、南シナ海、マーシャル諸島など西太平洋、インド洋に分布する。体は高い卵形で、体高は体長のおよそ2分の1前後。吻(ふん)は長く、眼径は吻長より著しく短い。頬(ほお)に鱗(うろこ)がある。両顎歯(りょうがくし)は外側に1列の円錐歯(えんすいし)と内側に幅の狭い歯帯がある。上顎の側面に鋸歯(きょし)状の隆起がある(外から見えにくい)。背びれと臀(しり)びれは普通は10軟条で、胸びれは14軟条からなる。側線鱗(そくせんりん)数は少なくて42~45枚。胸びれの腋部(えきぶ)には鱗がない。尾びれは浅く二叉(にさ)し、両葉は丸い。最大全長は約55センチメートルであるが、普通は35センチメートルぐらい。体は黄色みを帯びた銀灰色で、ときどき不明瞭(ふめいりょう)な暗色斑(はん)や帯がある。水深100~180メートルの岩礁域や大陸棚の縁辺にすみ、底生の無脊椎(むせきつい)動物や小形魚類を食べる。底延縄(そこはえなわ)や底引網で漁獲されるが、それほど多くとれない。ノコギリダイに似るが、コケノコギリは体高が高いこと、側線鱗数と胸びれ条数が少ないことで容易に区別できる。
[尼岡邦夫 2018年3月19日]