コシノカンアオイ(読み)コシノカンアオイ(その他表記)Asarum megacalyx

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「コシノカンアオイ」の意味・わかりやすい解説

コシノカンアオイ(越の寒葵)
コシノカンアオイ
Asarum megacalyx

ウマノスズクサ科常緑多年草。長野県北部から秋田県南部にかけての日本海側山地に分布し,落葉広葉樹林床に生育する。葉は暗紫色の長い柄をもち,卵状広楕円形で長さ9~12cm,光沢がある。早春,雪どけとともに開花し,全体に暗紫色の花を根ぎわにつける。花は筒状で長さ 1.5~2cm,径約 2cm,同属他種よりやや大きい。萼筒内中央には,盛上がった子房があり,その上に6本の花柱が直立する。花柱の先端角状で,長く伸びて萼筒入口付近にまで達する。和名は越後 (新潟県) を中心とする越の国に産することに由来する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「コシノカンアオイ」の意味・わかりやすい解説

コシノカンアオイ
こしのかんあおい
[学] Asarum megacalyx (F.Maek.) T.Sugaw.
Asarum megacalyx F.Maekawa

ウマノスズクサ科(APG分類:ウマノスズクサ科)の常緑の多年草。根茎はやや地上をはう。葉は長い柄があり、卵状広楕円(こうだえん)形で、表面は光沢を帯び、脈がすこし落ち込む。早春、暗紫色で肉質の長さ2.5~3センチメートルの筒状の大きな花を地面近くに開く。秋田県南部の日本海側から新潟県、長野県北部の山地の林下に生える。

菅原 敬 2018年7月20日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内のコシノカンアオイの言及

【カンアオイ(寒葵)】より

…分布域が広く多形的であるが,分布の周辺域にいくつかの種が分化している。中部地方から北のブナ帯に分布するミヤマカンアオイH.fauriei F.Maek.,日本海側の富山県に分布するクロヒメカンアオイ,山形県,新潟県,長野県北部のコシノカンアオイH.megacalyx F.Maek.,太平洋側の箱根から伊豆に分布するオトメアオイH.savatieri F.Maek.などが近縁分化種である。 中国ではカンアオイ属の数種を,サイシン類と同様に薬用にするが,薬効は劣るとされている。…

※「コシノカンアオイ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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