改訂新版 世界大百科事典 「コッゲ船」の意味・わかりやすい解説
コッゲ船 (コッゲせん)
Kogge
中世ヨーロッパの海上通商で使用された各種船舶の一つで,北方のハンザ貿易でひろく用いられ,その主力船種となった。コグ船cogとも呼ばれる。12世紀にすでに発生し,15世紀まで使用され続けるが,13~14世紀,つまりハンザ同盟の隆昌・全盛期が同時にコッゲ船の最盛期であった。外観上は,基本的には,1本マスト,高い甲板,船幅の広いことを特徴とする。木造帆船ではあるが,商業復活に伴う中世造船技術の進歩を反映し,中世初期の船舶に比し航洋性高く積載能力も大きい。大きさはさまざまであるが,積荷重量100tないし200tくらいが通常であった。概してハンザ同盟のなかでも,西のコッゲ船は小さく,東つまりプロイセンのコッゲ船は大きい。これはプロイセン地方の輸出品が主として穀物,材木等のかさばる商品から成っていたためと思われる。ハンザ諸都市が海軍力を保有するようになると,軍艦にもおもにコッゲ船が用いられた。15世紀に入ると西方からいっそう大型の船舶が伝わり,コッゲ船時代はしだいに終わってゆく。
執筆者:高橋 理
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報