改訂新版 世界大百科事典 「コルビザールデマレ」の意味・わかりやすい解説
コルビザール・デ・マレ
Jean Nicolas Corvisart des Marest
生没年:1755-1821
フランスの医師,近代心臓病学の創始者で,打診法の再発見者として知られ,病理解剖学の分野にも功績を残した。シャンパーニュのドリクールに生まれる。パリのオテル・デューで医学を学び,シャリテ病院医員を経てコレージュ・ド・フランスの内科学教授となり,1807年ナポレオン1世の侍医になる。J.L.アウエンブルッガーが発明した打診法(1761)を再発見し,それを仏訳(1808)するとともに,補足改良して胸部疾患の診断に用いた。これはフランス,イギリスで注目を浴び,のち広く世界で行われるに至った。心臓病をはじめ循環器疾患についての精細な観察・研究を行い,著作を出す(1806)。また病理解剖学の分野では,生前の徴候や症状と死後の病的変化の因果関係の追求の重要性を強調した。コルビザール顔貌,コルビザール病に彼の名が残る。R.T.ラエネクはその弟子である。
執筆者:長門谷 洋治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報