日本大百科全書(ニッポニカ) 「アウエンブルッガー」の意味・わかりやすい解説
アウエンブルッガー
あうえんぶるっがー
Joseph Leopold von Auenbrugger
(1722―1809)
オーストリアの医学者。グラーツの宿屋の子として生まれ、1752年ウィーン大学を卒業して医師となった。1754年からウィーンのスペイン病院に勤務し、そこで打診法の研究を行い、1761年にこれを発表した。幼少のころ家の酒蔵で父がぶどう酒の樽(たる)をたたいて、その内容を調べていたことにヒントを得て、打診法を発明したといわれている。当時彼の発見に対しては賛否両論があり、その反響はけっしてよくなかった。その後しだいに忘れ去られた打診法は、発明後約50年を経た1808年になって、フランスのコルビザールによって取り上げられた。コルビザールはアウエンブルッガーの著書『人体の胸部打診により、胸郭内深部病変を発見する新考案』、略してInventum novumを翻訳し、これに注をつけて出版したので、その後、打診法は広くヨーロッパに普及し、ウィーンにも逆輸入されるようになった。
[古川 明]