コロブスモンキー(英語表記)colobus monkey

改訂新版 世界大百科事典 「コロブスモンキー」の意味・わかりやすい解説

コロブスモンキー
colobus monkey

霊長目オナガザル科コロブス属Colobusに属する旧世界ザルの総称。コロブス属の種はすべてアフリカ産であるが,アジア産のものを含めたコロブス亜科全体を指す場合もある。コロブス属は手の親指退化して痕跡化していることから,〈ちぎれた〉を意味するギリシア語のkolobosをとってこの属名がつけられた。アジア産のものは親指の退化が目だたない。コロブス属のサル体長より長い太い尾をもち,比較的大型でほっそりしている。樹上生活者で何もせず樹上に座っていることが多いが,動きは敏しょうである。食物は植物食,なかでも木の葉が主で,セルロース分解に適した大きくて特殊化した消化器官をもっている。食物をためこむほお袋はない。

 コロブス属の種には非常に変異が多く,分類には諸説があるが,次の3系統に分けられる。オリーブコロブスC.verusは,頭胴長約50cm,体重5~6kg,体色はくすんだオリーブ色。西アフリカの森林,沼沢林,ときにはかなり乾燥した森にもすむ。生後まもない赤ん坊は母親の口にくわえられて運ばれるという真猿類にはまれな習性をもつ。クロシロコロブスC.polykomosは,頭胴長約70cm,体重約11kg,アフリカの熱帯降雨林,山地林に広く生息する。これはさらに白いほお毛や肩毛が黒い体毛と美しいコントラストをなすアビシニアコロブスゲレザともいう)C.p.abyssinicusとアンゴラコロブスC.p.angolensis,ウェスタンコロブスC.p.polykomosおよび全身真っ黒なクロコロブスC.p.satanasに大別されるが,前3者はその中でも地域変異が多い。赤ん坊の体毛は純白で,成長すると黒くなる。アカコロブスC.badiusは,クロシロコロブスよりやや小さく赤褐色から黄褐色の体毛をもつが,これも変異が著しい。森林地帯に広く生息する。この種は他と異なり比較的雑食で昆虫などもよく食べる。アカコロブスとオリーブコロブスの雌は発情すると性皮が膨らむ。これらは複雄群を,クロシロコロブスは単雄群をつくって生活している。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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