改訂新版 世界大百科事典 「クロシロコロブス」の意味・わかりやすい解説
クロシロコロブス
black and white colobus
Colobus polykomos
真っ白なほおの毛や尾先,マントのような肩毛と黒い体毛とのコントラストが美しい霊長目オナガザル科の旧世界ザル。頭胴長約70cm,尾長約80cm,体重約11kg。数多くの変異があるが,エチオピアから中央アフリカの森林地帯北部にかけて分布するゲレザ(別名アビシニアコロブス)C.p.abyssinicus,その南部の森林地帯に分布するアンゴラコロブスC.p.angolensis,西アフリカのウェスタンコロブスC.p.polykomos,ガボン,カメルーンにすむ全身真っ黒なクロコロブスC.p.satanasの4系統に分類される。このうちゲレザは白い毛が多くてとくに美しく,エジプトでは神の使いとされている。いずれも赤ん坊の毛は純白である。樹上生活者で木の葉がおもな食物。数頭から15頭,ときには30頭以上の単雄群をつくる。リーダーは他個体から離れて位置し,外敵に出会うと樹冠を跳び回りながら大声でほえ,最後には逃げる。飼育は困難だが,最近では成功例が多い。
執筆者:黒田 末寿
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報