改訂新版 世界大百科事典 「コーエナイト」の意味・わかりやすい解説
コーエナイト
cohenite
鉄隕石を構成する微量鉱物の一つ。化学組成は(Fe,Ni)3Cで,斜方晶系に属し,比重7.20~7.65,モース硬度5.5~6。へき開は{100}{010}{001}に良好。強磁性。不透明,金属光沢をもち,新鮮なものではスズ白色であるが,空気中にさらされると黄鋼~黄金色に変色する。反射多色性。異方性は弱いが明瞭に存在する。鉄隕石中にしばしば産し,Ni7%以上の粗いウィドマンシュテッテン構造を示すオクタヘドライト中に見いだされる。地球上ではグリーンランドの自然鉄中に発見された例がある。コーエナイトは高圧相で,これを含む鉄隕石は25kbar以上の高圧下で冷却したと考えられている。Niその他の微量金属元素の存在がコーエナイトの安定領域に及ぼす影響についてはよく知られていない。
執筆者:松枝 大治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報