改訂新版 世界大百科事典 「コーシャカー」の意味・わかりやすい解説
コーシャカー
Paul Koschaker
生没年:1879-1951
ドイツの法制史家。オーストリアのクラーゲンフルトの生れ。グラーツ大学卒業後,ライプチヒ大学に赴き,法パピルス学によりローマ法研究に新生面を開いたミッタイスLudwig Mitteisに師事。プラハ,ライプチヒ,ベルリン等の諸大学で教鞭をとった。ローマ法研究の第一人者であるとともに,古代オリエント諸法の研究に画期的業績を残し,なかんずく楔形文字法という前人未到の領域を開拓した。その研究は過去の法律的思惟様式に対する強い関心によって支えられ,方法的には比較法史的考察を特色とした。ローマ法研究とその教育の意義を論じた《ローマ法の危機とローマ法学》(1938)や,これを敷衍し,ヨーロッパ史におけるローマ法の役割をとくに〈法曹法の社会学〉という視角から究明した《ヨーロッパとローマ法》(1947)は,学界に大きな波紋を投じた。
執筆者:佐々木 有司
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報